感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2012020001 大倉崇裕 白戸修の事件簿 2002 日本 双葉文庫

評者:発起人    評価:6  読了日:2012/02/01  公開日:2012/02/04

巻き込まれ/お人好し青年が事件を「解決」? −TBS系でドラマ化放映中  

  私=発起人の2012ドラマ原作本、ついに第10弾!は大倉崇裕(おおくら・たかひろ、1968-)の『白戸修の事件簿』(双葉文庫←双葉社『ツール&ストール』、2002) である。

 ドラマはTBS系ですでに1月27日(金)深夜00:20から放送が始まっている。出演は 千葉雄大、本郷奏多、中村静香など。寺島進、永井大などゲストも出演する(している)。

 大学四年(一留)のどこにでもいそうな平凡な青年、白戸修がいろいろな事件に巻き込まれていく。どうしていつもそんなに事件に遭遇してしまうのか?これは平凡そうに見える白戸修が人に頼まれやすく、引き受けてしまう稀有な人格を備えているからである。(そのような人物として造形されているのである。)

 どんな事件かと言うと凶悪な事件は少ない。どちらかと言えば軽犯罪である。しかしそんな軽犯罪にも「業界」事情があり、専門用語や掟がある。著者はそういう細部にこだわる。少なくとも業界外の読者が読むとふーん、そういうものなのかと思う。作者は警察関係者の業界誌(ってそんなものがあるんですね)につとめていたことがあるそうである。

 白戸修が巻き込まれるのは必ず中野駅北口からである。私は毎朝だいたい中央線から眺めているのであるが、中野駅北口にそんなドラマが展開されているとはこの本を読むまでは知らなかったのである。

 本書で白戸修は以下の5つの事件に巻き込まれる(ネタバレ危険!)。

「ツール&ストール」:白戸修初登場の事件である。試験を控えている白戸修のところに八木という同級生から電話がかかってくる。「殺人容疑で追われてるんだ」。「月島の古書店店主変死事件」の容疑者にされかかっているという。八木とは特に親しくもなく、この試験を落とせば内定している就職もできなくなる白戸修なのだが中野駅北口で山野井という元スリ係刑事と会う。八木は月島の現場で真犯人らしい「桑田」というスリを見ている、というわけで知り合いの山野井に頼んだのである。白戸は中野→東京→有楽町→高田馬場→大手町と山野井に引っ張りまわされ、ついでにさまざまなスリの手口を教えられる。なるほど。ほんとかね。それで肝心の「桑田」は?そして古書店店主変死事件の真相は?最後に真相を明らかにする謎の美女(だったかな?)「山霧純子」(仮名)の正体は?

「サインペインター」:苦学生の倉田からバイトを変わってくれと頼まれた白戸修はどんなバイトかもまったく知らずに深夜の中野駅北口へ向かう。日比昇という男の指示で深夜から夜明けの街にステ看を取り付けてまわる。時給1万円だという。ステ看は立派な軽犯罪法違反である。住民には嫌われる。警官も追ってくる。ライバルとなる同業者(峯岸組)ともトラブルがある。はたしてこの顛末は?最後に白戸はまたまた人の良さを発揮するのである。

「セイフティゾーン」:白戸修は銀行強盗人質立てこもり事件に遭遇する。出海銀行中野駅北口支店である。白戸の預金残高がいつの間にか1万円少なく、51円になっている。銀行は「手違い」を認めたものの返金はいろいろ手続きがあって1週間ぐらいかかるという。その間どうして生活していけばいいのか。森島という女性パート銀行員(?)が1万円を貸してくれる。しかしそいうこうしている間に閉店間際に武装した四人組銀行強盗が侵入した。上記トラブルのため上の階にいた白戸は人質になることを免れ、芹沢と名乗る清掃員と4階にいて犯人側と戦う。芹沢は外部の警察などと連絡を取ろうとせず、掃除用具などで階上に来る銀行強盗のうち二人を倒して縛る。犯人たちは人質に危害を加えると脅す。白戸は森島さんのために下に降りようとするが・・・?芹沢とはいったい何者?そして事件はどうなる?・・・うう、この作品のネタは法律が変わってしまったので今では使えない。また最後にいったい何が起こったのかがはっきり描かれていないのである。

「トラブルシューター」:白戸修が買ったばかりの携帯にいきなり電話がかかってきた。中野駅北口に来い。どうやら間違い電話らしいが、お約束のように白戸は中野駅北口に向かう。そしてそこで私立探偵・北条隆一という男が杉本恵さんという女性をストーカーから守る仕事を手伝わされる。ストーカーの手口や心理がこの作品では細かく描かれる。恵さんを守り、犯人を特定することが北条のそして白戸の仕事となった。白戸の推理が冴えるが希望のある終わり方。

「ショップリフター」:つまり万引きである。白戸修は中野駅南口(これだけ南口)にある激安デパートで万引きに間違われ、深田重子という保安員に別室に案内される。いつの間にか白戸のポケットにはCDが入っている。白戸は否認するが、当然のように万引き防止のため深田に協力することになる。各売り場を回って深田の指示に従って動くのである。万引き犯を捕まえるときに大事なことは?ひとつは現認、ふたつは必ず店の外に出たときに声をかける等々深田の指示で白戸修も読者も店側と万引きとの攻防がわかる仕組みになっている。デパートじゅうを歩かされた白戸だったが、万引き犯を追って店外へ出たところを再び深田に捕まってしまう。えっ?深田の指示で動いてきただけなのに?ここで再び謎の女、山霧純子登場。深田の所業を暴くのである。「また会いましょう 山霧純子」ってお姉さん、いったい何者なんだよ〜?

 さて、続編も出たようであるが、まあしばらくはテレビドラマ原作から離れたいので、またの機会に!

 

  

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