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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2008070003 アーサー・コナン・ドイル 緋色の研究 1887 イギリス 光文社文庫

評者:発起人    評価:6  読了日:2008/07/11  公開日:2008/07/12

シャーロック・ホームズが初登場した記念碑的作品

  探偵といえばポワロ、クイーン、マーロウ、本邦でも明智小五郎、金田一耕助にガリレオと無数に登場しているのであるが、やはり英国のアーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle, 1859-1930)が創造したシャーロック・ホームズこそが名探偵中の名探偵である。なにしろ三毛猫ホームズという探偵猫までいるのである。

 1887年に出版された本書『緋色の研究』こそがそのシャーロック・ホームズが初登場した記念すべき作品である。記述者であるジョン・H・ワトスン博士とホームズが出会ったのもこの作品においてである。軍医として第二次アフガン戦争に従軍したが戦傷・戦病のためロンドンに帰ってきたのはいいが軍からの支給金だけでは生活は苦しい。まずはホテル暮らしをやめてもっと質素なところに住みたいと考えていたところ、紹介されたのがシャーロック・ホームズだった。二人は有名なベーカー街221番地Bで同居生活を始める。

 そこへロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)から持ち込まれた事件がブリクストン通り近くの空き家で発見された男の死体である。ホームズとワトスンは現場に急行、ホームズは独自の推理法で事件の謎を解き明かしていく。

 まずホームズの奇人ぶりに驚かされたワトスンだがホームズの推理力と行動力、そして明らかになる真相に感心し、この事件の記録者になるのである。

 背景には関係者たちが米国で体験した一連の事件がある。この部分は三人称的な記述になっているが、ああこれはどこかで読んだ展開だ(実際私はこの作品を阿部知二訳・創元推理文庫版で1993年3月13日に読んだ記録がある)、それもそのはず、『恐怖の谷』(1912)が似たような構造なのである。『恐怖の谷』ではフリーメイソンが、『緋色の研究』ではモルモン教が絡んでいる。実際にモルモン教がこの小説に書かれているようなものだったのか私は知らないが、ホームズの合理主義的な推理法をもってしても解明できない犯罪の動機部分は独立した物語が必要なのである。

 私が今回読んだ光文社文庫版は「新訳シャーロック・ホームズ全集」と銘打った日暮雅通(ひぐらし・まさみち、1954-)の個人訳である。非常に読みやすく、注釈も充実している。


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