感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2008060006 ガブリエル・ガルシア=マルケス 百年の孤独 1967 コロンビア 新潮社

評者:発起人    評価:10  読了日:2008/06/24  公開日:2008/06/25

新しい高みに達した豊穣で神話的現実的な世界  

 新潮社から刊行された「ガルシア=マルケス全小説」の『悪い時 他9篇』(1962)に続く( 原著刊行順で)3冊目にあたる本書『百年の孤独』(鼓直訳、1967)はそれまでの著者の作品群から抜け出し、世界文学の高みに飛翔した傑作である。

 生まれ故郷を離れ長い旅を続けたあと住み着いたマコンドの地と建設者たち一行のリーダー、ホセ・アルカディオ・ブエンディアと妻ウルスラ・イグアランから始まる一家6代の歴史(=物語)がさまざまな挿話により語られる。

 この作品以前に発表されたガルシア=マルケスの小説の挿話・題材・人物が数多く登場する。もちろんこの作品で新たに登場する物語も数多いが、何より神話的と言っていい大胆な誇張法、豊穣な言葉と奇想天外なプロットによって過去の作品の単なる集大成を超えて新しい高みに到達した。

 なによりも物語が面白いのである。衰退と死のイメージに彩られた以前の作品はより生命力のある、繁殖力に満ちた、破壊力のある小説世界として再構築されたのである。愛(エロス)が、無秩序な自然との戦いが、圧制への抵抗がマコンド=世界を創る。しかし最後にはこうして物語られたマコンドもそこに住んだ人々とともに蟻や雑多な植物たちに飲み込まれ、滅亡してしまうのである。ところがこの作品では滅亡のイメージさえ豊かで密度が高いのである。

 私=発起人は実は1972年に翻訳刊行されたこの作品を1983年8月25日に読了している。再読ということになるが、もちろん25年前の記憶はあいまいであり、この作品に出てくる登場人物たちも次々と物語の中で忘れられていくようにほとんど忘れていた。今後も私の記憶に残る保証はないが、長く読み継がれ後の創作者たちに大きな影響を与え続けることは間違いない。

 さて私はすでに『族長の秋 他6篇』(1975)にとりかかった。

   
   

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