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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2008040006 井川香四郎 日照り草 梟与力吟味帳 2007 日本 講談社文庫

評者:発起人    評価:6  読了日:2008/04/20  公開日:2008/04/21

江戸時代を借りた現代劇−人権派美人「弁護士」が大活躍!

  土曜日午後7時30分からNHKで放映中のドラマ「オトコマエ!」(福士誠治、 斎藤工、片岡鶴太郎、柴田恭平、井上和香、浅田美代子、藤村俊二など出演)の原作第2弾は、第1作『冬の蝶 梟与力吟味帳』(2006)にくらべても、時代考証など七面倒くさいことは言ってられないとばかりに現代化している。江戸時代を背景に借りて現代の腐敗や不正義を暴き、スッキリ解決という連作小説である。

「第一話 日照り草」では馬喰町四丁目の公事宿(くじやど)の女主人、真琴(まこと)が登場する。公事宿は「今で言う弁護士と司法書士を合わせたような仕事をしていた」。真琴は若く妖艶な人権派弁護士といったところで水茶屋のお圭という娘を殺したかどで死刑確実の呉服問屋『相州屋』の手代勘吉の無実を訴えてくる。梟与力=北町奉行所吟味方与力・藤堂逸馬にいわば再審請求を行い、逸馬ともども再捜査を行うのである。表れてくるのは古鉄の違法売買をめぐる南町奉行・鳥居耀蔵の影・・・当然正義は勝つのである。

「第二話 籾は死なず」:下総・芳賀村から真琴のもとに訴えがある。善政を行い村人から慕われていた代官・田村晋之助の事故死は実は殺人ではないかというのである。関東地方の「移動警察」=「八州廻り」(関東取締出役)や勘定奉行(財務大臣?)の腐敗が暴かれる。

「第三話 月傾きぬ」はあの鬼平こと長谷川平蔵が昔作った石川島人足寄場から脱走した渡世人の大親分・白鷺の権左との戦いである。各地に子分を持つ現代で言えば広域暴力団という感じか。任侠を気どるがやることは卑劣な恐喝や暴力である。もちろん人足寄場を管轄する役人は裏でつるんでいるのである。

「第四話 悪人狩り」では南町奉行・鳥居耀蔵が「予備罪」というか「予防拘束罪」つまり、悪いことをしそうなやつを具体的な犯罪なくして拘束できる法律を通してしまう。不良(っぽい)少年・銀平を釈放した逸馬は銀平が殺人を犯したという知らせを聞くはめになる。いろいろあって、最後はついに逸馬と鳥居耀蔵が直接対決するのである。

 四話すべてに真琴が重要な役割を果たし、逸馬と立場の違いで軋轢もあるが名コンビとなっている。鳥居から寺小屋『一風堂』に送り込まれている密偵・茜、そして遠山の金さんの愛人と噂される佐和膳の女将・佐和は真琴に押され気味である。

 寺社奉行吟味物調役支配取次役・武田信三郎、奥右筆仕置係・毛利源之丞八助との連携プレーは本書では影が薄い。逸馬たちの師、宮宅(みやけ)又兵衛や遠山の金さんも出番が少ない。(いったい何やってるのという感じである。)

 さて次は『忍冬 梟与力吟味帳』(2008)であるが、ドラマ放映のせいかアマゾンでは現在3-5週間待ちになっている。どうしようか。


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