感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2008030002 有川浩 図書館戦争 2006 日本 メディアワークス

評者:発起人    評価:9  読了日:2008/03/08  公開日:2008/03/09

本と自由を守る図書隊員たちの活躍を描く傑作−アニメ化放映

 時は昭和の後をついだ正化(せいか)三十一年(2019年?)、検閲を合法化する「メディア良化法」とその対抗として期待された「図書館の自由法」が成立して三十年、それぞれの根拠法に基づきメディア良化委員会・良化特務機関vs公共図書館・図書隊が武装し、抗争するという仮想日本−。このありえないとは一概に言えない設定がすばらしい。

 高校時代にメディア良化委員会による本屋での検閲を救ってくれた図書隊員=「王子様」に憧れて入隊してきた新人・笠原郁(♀)は、同僚の柴崎麻子、エリート・手塚(♂)、教官の堂上篤二等図書正、小牧幹久二等図書正、玄田竜介三等図書正などと厳しい訓練や論争、実戦をくぐりぬけて図書隊員として成長していくのである。

 警察や自衛隊は何してる?そもそも本ぐらいで武装抗争するって無理すぎないかなどと大人気ないことを言わないで、読んでみると、本が好きなら、そして自由の価値を大切に思う人なら受けることは確実。自由という言葉が建前とお金に関することにしか使われなくなって久しいなと痛感している私などにとっては溜飲が下がる小説である。

「正論は正しい。だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使ってるのはどっちだ?」(堂上→手塚への問いかけ)

 作者の有川浩(ありかわ・ひろ、女性、1972-)は現実に起きている表現規制の強まりに対する抵抗・反発をテーマにしながらも高いエンターテインメント性も忘れない。あくまでもメインは郁たちの一生懸命さ・一途さ・憧れなのである。訓練・戦闘、図書館内の人間関係、登場人物たちのキャラや漫才風掛け合いも楽しめる。(イラストは徒花スクモ)

 このシリーズは次の『図書館内乱』(2006)に続く。フジテレビ系土曜深夜の”ノイタミナ”(アニメーション=animationの逆さ読みですね)枠で4月からアニメ化放映も決まっている。

 以下は蛇足だが、この本の情報を見ようとすると「あなたは18歳以上ですか?」などという画面に行くオンライン書店が存在するのを知って驚いた。この本のどこが18歳未満に不適切なのか?ただただシステムとビジネスの効率化と事なかれ主義に陥いるとこういうことになってしまう。図書隊員ではなく書店隊員が必要か。


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