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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2008010007 | エド・マクベイン | 殺意の楔 | 1959 | アメリカ | ハヤカワ・ミステリ文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2008/01/28 公開日:2008/01/28
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刑事部屋が武装した女に占拠された!−「キャレラを殺すのよ」 |
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エド・マクベイン(1926-2005)が書き続けた87分署シリーズの第8作で1959年に発表されたもの。 ニューヨークをイメージした架空の大都会アイソラ市の87分署は日々犯罪と戦っている。 十月はじめの午後、その刑事部屋にヴァージニア・ドッジという黒ずくめの死神のように見えた女が尋ねてくる。 「キャレラ刑事はいますか?」 ・三八口径の拳銃を取り出し、部屋にいた刑事たちと主任のピーター・バーンズ警部を武装解除、おまけにカバンの中から透明な液体の入ったビンを取り出す。ニトログリセリンだと言う。 女は愛する夫がスティーヴ・キャレラに検挙され有罪判決を受けて服役中の刑務所病院で病死したのを逆恨みしてやってきたのだ。 「スティーヴ・キャレラを殺すのよ」 そのキャレラ、87分署シリーズの主役級刑事はと言えば大富豪のスコット家の当主が密室状態で首吊り死体となった事件の調査でこの家の大きな屋敷に行って留守である。 女に占拠された刑事部屋でのさまざまな抵抗と駆け引き、新たにここへやってきて人質になる刑事たちや女・・・。 刑事たちも他の登場人物たちも生きた人間でありさまざまな喜びと悲しみとともに生きている。街の描写と登場人物たちの人生の描写がときに詩的(自己陶酔的?)な文体でつづられる。視点の頻繁な変換はこの大都会に生きる人たちを多重的・立体的に描き出し、しかも徐々に高まるクライマックスに向けて読む者を離さない。 さてそもそもこの女の持っているニトロは本物なのか?スコット家の事件の顛末は?そしてキャレラの運命は? 上質の二時間ドラマの原作になりそうな作品である。 訳文(井上一夫)は古いので興ざめなところもあるが、このころの日本語はこういう感じだったのであると思えばそれもまたおもしろく感じられる。 |