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感想文番号 |
著者 |
書名 |
刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2008010004 | 門田隆将 | 甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ 高畠導宏の生涯 | 2005 | 日本 | 講談社 |
評者:発起人 評価:5 読了日:2008/01/14 公開日:2008/01/14
| 名コーチの生涯を描く−NHK連続ドラマ「フルスイング」の原作 | |
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万城目学 『鹿男あをによし』に続く2008年新春ドラマ原作本の第2弾は(第3弾以降があるかどうかはわからないが)1月19日午後9時からNHK土曜ドラマ枠で全6回放送される「フルスイング」(高橋克実、伊藤蘭ほか出演)の原作だ。 ところがこの本はノンフィクションである。高畠導宏(たかばたけ・みちひろ、1944-2004)という野球打撃コーチの一生をジャーナリストの門田隆将(かどた・りゅうしょう、1958-)が描いた本である。 この本を読んで野球をしている人が何かに開眼するとかそういうことは多分ないだろう。 しかし多くの普通の人がこのコーチの方法に感心し、生き方に感銘を受け、道半ばにして病に倒れた無念に思いを馳せることはあるだろう。また高畠が三十年も勤めてきたプロ野球のコーチという仕事を通じて当時のプロ野球の裏面が垣間見えるという興味もある。 高畠は岡山南高校、丸善石油(松山)、中央大学、日鉱日立で強打者として活躍し、南海ホークスに入団した。ところがプロ野球ではケガに泣きフルに活躍できなかった。そして二十八歳にしてホークスの打撃コーチに就任、三十年にわたって南海→ロッテ→ヤクルト→ダイエー→中日→オリックス→千葉ロッテで多くの名選手を育てた。 「教え子」にはメジャーで活躍している田口選手を始め多数のタイトルホルダーたちがいる。プロ野球でプレーしている選手たちは技術的にはどの選手も高いものを持っていて、ある視点から欠点を直そうとしても直るものではない。高畠は欠点を指摘するのではなく、長所を伸ばそうとした。選手たちを徹底的におだてた。そして選手といっしょになって高畠独自の工夫による「小道具」や練習方法によってスランプに陥っている選手たちを復活させた。 このあたりは野球だけではなく、企業などで今流行の「コーチング」技術に通じるものがある。 しかし、つきつめていくと究極の勝負の場面でものを言うのは精神力である。この点に気づいた高畠は心理学やカウンセリングを学びはじめる。そして自らは実現することができなかった甲子園での優勝を目指して、高校教員資格のための勉強を通信過程で続けるのである。 念願かなって福岡県筑紫台高校で教壇に立ったのは2003年、プロ野球での経験があるため野球部を指導するには2年間待たなければならなかったが、その間に進行性の癌に冒され帰らぬ人となった。 しかし短い期間でもこの特異な経験を持つ教師は生徒やまわりの人たちに慕われ現在でも影響を与えているという。 正直に言うと著者の週刊誌記事風の文体が好きではない。さらに高畠という人の一面しかやはり捉えられていないのではないか、偶像視しすぎじゃないかという気もする。一時阪神で活躍したジョージ・アリアスのスランプをオリックス時代に脱出させたということには感銘を受けたが、高畠が座右の書としたという『気力』(気のメは米という字になっている)を書いた三浦道明(みうら・どうみょう)という人はよく知らないが怪しげである。 やはり、これもドラマのほうが絶対おもしろいのではないかと思う。ドラマではたとえば南海時代の監督だった現楽天の野村監督などが登場すればさらに迫力を増すだろう。 |
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