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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007120001 鈴木大拙 禅とは何か 1930 日本 角川ソフィア文庫

評者:発起人    評価:8  読了日:2007/12/09  公開日:2007/12/10

世界的仏教学者がわかりやすく禅について語った名著

 本書は世界的な仏教学者にして大禅者でもあるという鈴木大拙(すずき・だいせつ、1870-1966)が1927-28年にかけて大阪妙中禅寺というところで行った講演をもとにまとめられ、1930年に『禅とは何ぞや』という題名で出版された。(その後現在の書名に改題。)

 宗教的経験なしにまた信仰の意思もなく、宗教の本を読むというのはつらいものである。とくに厳しそうな雰囲気の漂う禅の場合はいつ「喝ッ!」などと本から声が出てきそうな気もしてびくびくしながら読んだのである。

 私の今までの禅に関する知識と言えば、京極夏彦『鉄鼠の檻』(1996)から得られたものがほとんどである(!)が、禅宗いや(エセ)宗教全般に対する不信感が高まった時代の小説でもあり、その後秋月龍a(あきづき・りょうみん、1921-1999)『道元入門』(1970)などを読んでもただただ難しい、しかも実践なしには知識を得ても何の意味もないのだということだけがわかったのである。

 しかしこの本はさすがである。使っている言葉はそんなに難解ではなく、また一般に使わない言葉を使う場合はていねいに何度もその意味を語っている。

 そもそも宗教とは何か?宗教と哲学・心理学との違いと関係は?宗教の役割は?仏教とは?仏教の本質はどこにあるのか?禅宗とは?禅宗の歴史は等々の答えが聞きたくても普通そんなえらい先生(師?)に聞けないよというようなことに著者は答えようとしている。しかも単に禅宗や宗教一般に対する知識や経験からだけではなくおびただしい研究と社会とのかかわりの蓄積の中から出ている言葉なので視野が広大であり、そのため説得力もある。

 しかしやはり宗教とは著者も言うとおり個人的経験なのである。仏教では釈迦が菩提樹下で悟ったことが根本にある。誰かがかわりにこの体験をするわけではない。いくら本を読んでも、修行をしても(してないが)だめなのである。とくに禅宗ではあまり書物(お経)に頼らないらしい。

 そうであれば私としてはやはり知識として、ひとつの参考意見として禅宗も見ていくしかないのである。人間の「不安」(自他の分裂からくる不安だと著者は言っているように思える)を超克するひとつの経験的方法として禅宗を「勉強」していくしかないのである。


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