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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007120001 武田邦彦 環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2007 日本 洋泉社 Yosensha Paperbacks

評者:発起人    評価:9  読了日:2007/12/02  公開日:2007/12/02

「裸の王様」と叫ぶ勇気には感銘−原子力安全委員会委員は辞めたほうがいいのでは?

 エコであらずんば人にあらず、というような風潮がしだいに強まるのを日ごろから窮屈に感じていた。「チームマイナス6%」に協力しないのはせっかく「京都議定書」をまとめあげたのにけしからん、みんなで「地球にやさしく」、「子どもたちのために地球を残そう」等々のスローガンをテレビなどで聞かされてうんざりしていた。私はへそ曲がりなのである。みんなが一致してなどということに本能的に胡散臭さを感じるのである。

 本書を書いた武田邦彦(1943-)は名古屋大大学院教授などを経て現在は中部大学教授などをしている人で工学系の学者らしい。内閣府原子力安全委員会専門委員などという肩書きもあるのでそのあたりが少々あやしいといえばあやしいが、あくまでもその主張はデータに基づいている。もちろん私にそのデータを検証する力はないのだが・・・。

 まずペットボトルのリサイクルが槍玉にあげられる。リサイクル開始前は12万トンのペットボトルが生産され捨てられていた。リサイクルが始まって約10年経過し、生産量は51万トン、うち分別回収されているのが24万トン、だが再生利用されているのはうち3万トンに過ぎず、結局捨てられているのが27万トン、分別回収され捨てられている21万トンとあわせ48万トンが捨てられている。いったい何のためにリサイクルを費用と手間をかけて行っているのかわからない状態になっているという。しかもリサイクルのためにも当然資源は使うのである。

 著者は次に猛毒として報道されたダイオキシンがたいした毒ではなく、大昔から自然に存在していたこと、「環境ホルモン」の影響の誇大報道、地球温暖化報道の嘘と誤り、京都議定書の効果の疑わしさ、森林が二酸化炭素濃度を下げるという主張の根拠の無さなどをひとつひとつ論証していく。

 なぜこんなでたらめがまかり通るのか。このあたりの追求はあまり成功しているとは言いがたいが、結局は環境問題を理由にして税金や補助金を受け取り、利権を拡大し、ビジネスで利益を上げる人たちがいるということらしい。

 政府や主流派ビジネス、学会などの主張や行動(そして何よりも「善意」の支持者たち)に真っ向から異議を唱えることは非常に困難なことである。良くて無視、悪くすると放逐される可能性もある。今年のノーベル平和賞が環境問題で名を上げたアル・ゴア元米副大統領と(著者もデータを引用している)IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に与えられたことを見てもわかるように環境問題は今や飛ぶ鳥をも落とす勢いなのである。

 しかしだからと言って著者の主張がただ単に「反エコ」(実は著者によると反利権)だからと言って無視されていいはずはない。環境問題を(効果があったとしてもほとんど微量の)個々人の努力や倫理に押し付けてはいけないのである。

 さらに、汚染を大規模に拡大しながらわずかの「エコ活動」でしらんぷりをしているビッグビジネスの行動や現実に被害にあっている人たちの苦悩を無視していいはずはない。著者の視点がときおり復古調になること、日本という国はきれいで環境問題は克服したという視点や環境問題は畢竟石油問題だという見解は私には同意しにくいところもある。

 しかし一人でも多くの人が読んで、この問題を考える人が増えるのはすばらしいことであると思う。『環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2』も出版されているそうである。


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