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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007100006 外山滋比古 思考の整理学 1983 日本 ちくま文庫

評者:発起人    評価:3  読了日:2007/10/23  公開日:2007/10/24

時の流れは酷薄である−それなのになぜ売れてるの?

  英文学が専門だがさまざまなエッセイも発表してきた外山滋比古(とやま・しげひこ、1923-)が1983年に発表した作品。いかにして創造的発想ができるようになるか、著者自身の「技術」を公開し、先人たちの例も挙げ、さまざまなアナロジーも使って平明な文体で語っている。

 自力で飛ぶことができない「グライダー人間」ばかりではだめだ、自力で飛べる「飛行機人間」がもっと増えなければ、「コンピューターに仕事を奪われる」。

 ここで著者が1983年に「コンピューター」に感じていた危機感が正しいものであったかどうかはさておき、著者の言う創造的人間になるためのノウハウ自体が今から見ると、うう、こんなことめんどくさくてやってられん、ウェブで調べて、コピペでちょちょいとはい一丁出来上がりという感じになってきている。

 アイデアは寝かせておく、発酵するのを待つなどという著者の体験的真実も、そんなことせずとも(学術論文の世界は知らないが)いちはやくブログなりなんなりで公開して意見・異見を吸収・改良して製品化・市場投入という厳しい現実世界の前では色あせるのである。創造力よりプレゼン力の2007年ではずいぶん古い本だなあと感じてしまう。

 まあ古くても実用的でなくてもいいのだが、致命的なのは面白くもないということである。創造的になるためにと言っている本なのにそんなに創造的だとは思えないのである。実例で見せてもらいたい。そのためには著者の他の著作を読めということなのだろうか。

 まだ牧歌的であったころの大学の人文科学系の教授の学生向けのノウハウ本のような気がする。

 それなのにこのちくま文庫版、1996年4月24日第1刷で2007年4月5日第33刷と売れているようなのだ。どうしてか?私の推測ではやはりこの手の文章は受験問題にしやすいのではないだろうか?まさか今、創造的になろうとしている人たちがこの本を読んで感心するとは思えない。あるいは現役を引退された人たちに読まれているのか?

 まあ十人十色、私には合わなかったということで、ご勘弁を。


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