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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2007100003 | 小野不由美 | 月の影 影の海 十二国記 | 1992 | 日本 | 講談社X文庫ホワイトハート |
評者:発起人 評価:8 読了日:2007/10/08 公開日:2007/10/09
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愛と勇気?暴政への抵抗? ファンタジーの傑作 |
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これ以上シリーズもの読み始めてどうするんだよという内心の声を無視してこの連休中に一気読みしてしまった。 私にとってはスティーヴン・キング 『呪われた町』(集英社文庫、1975)の日本版とも言うべき『屍鬼』(新潮文庫、1998)の作者としてしか知らなかった小野不由美(おの・ふゆみ、1960-)の十二国記シリーズの第1作である。 作者には『魔性の子』(新潮文庫、1991)という作品があり、これが十二国記シリーズのプロローグ的作品でもあるらしい。 髪が赤いこと(地毛です)をのぞけば平凡な女子高生、中嶋陽子はある日突然ケイキと名乗る男に学校から連れ去られる。ケイキは陽子を主と呼んだ。 剣を持たされ、奇妙な獣に乗って、襲いかかる「妖魔」たちの攻撃を撃退しながら海上の月の影をくぐってたどりついたのは地図にない異世界だった。この世界の仕組みはまったくわからないのに、ケイキたちともはぐれ、飢えに苦しみ、執拗な攻撃をやめない異形の獣たちと戦いながら、陽子は旅を続ける。 旅の途中でさまざまな人や「半獣」に出会い、裏切られ、裏切り、陽子はこの古代中国風の異世界の構造を学び、自分に与えられた「使命」を理解していく。この世界はどうやら十二国から成っていて陽子はその中の一国、慶国の王たるべく「向こうの世界」=倭(日本)から連れてこられたというのだ。 この作品の隠れたテーマはいささか大げさに言えば国家や政治の正統性が失われ、不当な統治や暴力が現れたときに個人はどうするべきかというものだと思う。より一般的に言えば愛と勇気ということになってしまうが、それだけに還元できないのではないか。 もちろんファンタジー特有の珍しい生き物たち(これにはもちろん凶悪系と可愛い系がいる)や、世界の設定もしっかり描かれている。 十二国記と名づけられたほかの作品では基本設定は同じだが主人公は違うようだ。さて発表順でいくと次は『風の海 迷宮の岸 十二国記』(講談社X文庫ホワイトハート、1993)かそれとも先述の『魔性の子』か?まだ全体は完結していないこのシリーズ、私もゆっくりついていくことにしたい。 なお「十二国記」はNHKで連続アニメ化され2002〜03年にかけて放映されている。(もちろん未見) |