感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007090004 高橋英夫 西行 1993 日本 岩波新書

評者:発起人    評価:6  読了日:2007/09/20  公開日:2007/09/22

西行を読まず西行論を読む愚を痛感

 文芸評論家・高橋英夫(1930-)による本書は私=発起人には読む資格がなかった!

 なにしろ西行(1118-1190)である。おそらく高校時代以来お目にかかったことのない名前である。その生涯も歌も何も知らないのである。漂泊の詩人というイメージだけは頭の中にある。それなのに伝記でも西行の歌集でもなく、西行についての評論を読んでしまった!

「願はくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月のころ」

 うーむ、悪くないと思うよ、ああなるほど何度も繰り返して唱えているとそこはかとなくね、西行の「心」が伝わってくるような気がしますです、はい、などと言っても始まらない。

 著者の解釈が正しいのか間違っているのはわからないのは当然のこととして、あえて言えばその内容があまり面白くないというのも失礼だが事実である。もちろん私にとってである。

 西行の略伝と代表的な歌、またその死後多く生まれた西行伝説について一通りの知識を得ることはできる。また松尾芭蕉にとっての詩人の先輩としての西行を追った章などはなかなか読みごたえもある。

 しかし、和歌に代表される日本的な詩的心性から遠く離れたところにいる私が、文芸評論家による文章をいくら読んでも頭には入っても心には響かないのである。

 やはり西行のオリジナルのテキストにあたるほかないのである。無数に書かれてきた西行論の中で本書がどれぐらいの意味を付加したのかも不明であるが、あくまでも著者も現代人の眼で西行を解釈しているのである。

 うう、ここで止めておこうかと思ったが、だめだ、書いてしまう!

 今夜は西行!


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