感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007080006 京極夏彦 京極噺六儀集(きょうごくばなしだいほんしゅう) 2005 日本 ぴあ

評者:発起人    評価:5   読了日:2007/08/28  公開日:2007/08/30

京極夏彦による狂言、落語の台本集

 京極夏彦が書き下ろした新作狂言三篇と落語台本が収められている:

@ 「狂言 豆腐小僧」

A 「狂言 狐狗狸噺(ロングバージョン)」

B 「狂言 新死に神」

C 「落語 死に神 remix」である。

 さらに2003年4月から2004年11月まで全国で狂言師一家・茂山千五郎家によって「妖怪狂言」として演じられたときに使われたのが@をもとにした

D 「上演台本 狂言 豆腐小僧」とAを基にした

E 「上演台本 狐狗狸噺」である。

 そして2005年6月に三箇所で行われた落語・講談・狂言の同時上演会「京極噺」で、Cを演じたのが春風亭小朝であり、Bをもとに茂山千五郎家が演じたのが

F 「上演台本 狂言 新・死に神」である。

 さらに京極作品『巷説百物語』(1999)所収の「小豆洗い」を元に講談師の神田山陽が作り、演じた台本、

G 「講談巷説百物語小豆洗いより」が収められている。

 このようになかなかややこしい本の作りである。京極ファンとしては@〜Cを読めばいいのだが、狂言などになじみのない私などのために茂山千五郎家の茂山千之丞(1923-)による「特別寄稿」、「京極作品と狂言との”歴史的出会い”」などという文章も収録されていて狂言の歴史などもザッと理解できる工夫もされている。

 いずれにしろ、演者があってこその狂言であり落語であり講談である。ゆえに私には評価もできないのであるが、@〜Cを読むかぎり、京極夏彦が伝統芸能の型を踏襲しながら新しい挑戦をしているのがわかる。

 さてもさても、京極夏彦という鬼才によって新作というものが数百年なかったという狂言が一挙に現代化したのである。豆腐小僧という忘れられていた妖怪を復活させたのと同じように(『豆腐小僧双六道中ふりだし』(2003))、狂言も蘇らせたのである。


作家別一覧:  1 2 3 4 5 6 7 8

刊行年別一覧: 1 2 3 4 5 6 7 8

Home