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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007070004 桜庭一樹 赤朽葉家の伝説 2006 日本 東京創元社

評者:発起人    評価:6   読了日:2007/07/19  公開日:2007/07/19

山陰の名家の女三代を描いた日本推理作家協会賞受賞作

 桜庭一樹(さくらば・かずき、1971-)が日本推理作家協会賞を受賞した作品。(直木賞候補でもあったが落選)。ちなみに筆名は男のようであるがご本人は女である。

 読んでいる間、そもそもこれがなんで推理作家賞なのか私にはわからず、さらに,直木賞も無理かなと思ったのである。

 山陰の、山と海に挟まれた紅緑村が舞台である。国家に管理されず独自の文化・技術を持ち流浪の暮らしをしている「辺境の人」(あるいはこれは京極夏彦の作品によると差別語であるらしいが、サンカ)たちがこの村に戦後すぐ捨てていった娘・万葉(まんよう、推定1943生まれ)は少女のときから不思議な能力(=未来視)を持っていた。

 製鉄所に勤める若い多田夫婦に育てられた万葉は村の頂上に巨大な屋敷を構える製鉄業で財をなした村一番の資産家・赤朽葉家の大奥様タツに息子・康幸の嫁として「決定」される。

 いやも応もなく、万葉は赤朽葉家の若奥様になるのだが、彼女は学校に行っても、字は読めるようにならなかったが、不思議な力で悲劇をも予知してしまう。

 物語は戦後史やその時代の雰囲気をなぞるようにして、赤朽葉家の人たち、紅緑村の人たちの変遷をたどっていく。万葉の娘・毛毬(けまり)の娘にあたる「わたし」(憧子=とうこ、1989年生まれ)が万葉から折に触れて聞いた話を思い起こし、ただひとつ提示された謎を解いていく。「わたし」=憧子は23歳であるから、この物語は2012年の視点で語られているということになる。

 さて、この作品のレシピです:

@ NHKの朝の連続テレビ小説 3年分ほど

A 国家に包摂されなかった「辺境の人」へのあこがれ:京極夏彦や網野善彦、大江健三郎などの作品数冊

B 横溝正史(とくに事件の発生する閉鎖的・二項的な「村」の構造)数冊

C 暴走族の世界大さじ3/4杯

D 少女漫画家の世界大さじ1杯

E 同性・・・おっと性同一性障害?(いわゆるボーイズ・ラブか?)小さじ1杯

F 戦後史(新聞の切り抜きなど)大皿一杯分

 Fの上によく混ぜ合わせた@を乗せ、別に用意したボウルにA〜Eを適当にかき混ぜて載せます。これを電子レンジでまあ15分ぐらい強火で熱してできあがり。まあお好みによってはルース・レンデルなどをまぶしてもいいかもしれません。私・発起人としてはAの風味が消えてしまっているように感じられたところが残念。

 食材が混じり合っていないとか、生煮えの材料があるとか、インスタント食品のような味がするとかいろいろご不満な向きはあるでしょうが、まあ力作であることは間違いはない、これを出されてあからさまに不味いとか微妙だとかいう顔をするのは紳士淑女の品格にかかわる行為でありましょう。


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