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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2007070003 |
ウィリアム・フォークナー | 死の床に横たわりて | 1930 | アメリカ | 講談社文芸文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2007/07/13 公開日:2007/07/14
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頻繁な視点移動で貧農一家の秘密と欲望を描き出す
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ウィリアム・フォークナー(1897-1962)が『響きと怒り』(1929)に続いて発表した作品である。 本作では南部の架空の町ジェファソン郊外の田舎に住む貧農一家バンドレン家のアンスとアディ夫妻、そして長男キャッシュ、次男ダール、三男ジュエル、長女デューイ・デル、四男ヴァーダマンの七人家族を中心に語り手が頻繁に移動する。 アディは死の床についているため語らないが、死後語り手として登場する!頻繁なこの視点移動によって読者にはこの家族ひとりひとりの過去や秘密、奇妙な執着がしだいに明らかになっていく。 主要な物語は、重篤のアディが死に、故郷のジェファソンに埋めるという彼女のアンスとの約束のとおり、キャッシュが作ったお棺に納められたアディの屍をらばに引かれた馬車で運ぶ一家の旅を描く。 折からの洪水で一行の旅は難渋を極める。流れに半ば埋まった橋を渡るときにはアディのお棺も流されそうになる。そしてやがて死臭がひどくなり、ハゲタカが舞うようになる・・・。 いわゆる「ヨクナパトーファ・サーガ」のひとつであるが、『響きと怒り』に比べるとこの頻繁な視点移動に慣れてしまえば読みやすい。人物も複雑な性格のアディをのぞいてはまったく理解不能ということもなく、物語としても面白い。 佐伯彰一(さえき・しょういち、1922-)の翻訳でおそらく米国南部方言をあらわすのに男女問わず「じゃ。」を多用させているのが耳障りではある。 以下に語り手の推移を記しておく: ダール→コーラ・タル(バンドレン家の隣人の妻)→ダール→ジュエル→ダール→コーラ→デューイ・デル→タル(コーラの夫)→アンス→ダール→ピーボディ(医者)→ダール→ヴァーダマン→デューイ・デル→ヴァーダマン→タル→ダール→キャッシュ→ヴァーダマン→タル→ダール→キャッシュ→ダール→ヴァーダマン→ダール→アンス→ダール→アンス→サムソン(一行が泊めてもらった家の主人)→デューイ・デル→タル→ダール→タル→ダール→ヴァーダマン→タル→ダール→キャッシュ→コーラ→アディ→ホィットフィールド(牧師)→ダール→アームスティッド(一行が泊めてもらった家の主人)→ヴァーダマン→モーズレー(薬屋)→ダール→ヴァーダマン→ダール→ヴァーダマン→ダール→ヴァーダマン→ダール→キャッシュ→ピーボディ→マックゴーワン(薬屋従業員)→ヴァーダマン→ダール→デューイ・デル→キャッシュ。 15人の語り手が59回語るのである。 |