感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007060004 レイチェル・カーソン センス・オブ・ワンダー 1965 アメリカ 新潮社

評者:発起人    評価:5   読了日:2007/06/07  公開日:2007/06/07

幼い子どもを持つ人たちにお勧めの一冊

 地球温暖化が現在ドイツで行われているサミットの議題のひとつになっている。会社でもやれクール・ビズだ、チームマイナス6%だといろいろ努力が行われている。

 しかし地球環境問題を温暖化問題に単純化したり、ひとりひとりの「努力」のせいにしたりしていてはいけないと思う。

 本書は名著『沈黙の春』(1962)などで環境汚染の恐ろしい実態を描き警鐘を鳴らしたアメリカの海洋生物学者・作家のレイチェル・カーソン(1907-1964)が1956年に雑誌に発表し、死後現在の形で出版された作品である。

 幼い甥(ほんとうは姪の息子らしいが)のロジャーをつれて、メイン州の海辺を、夜を、森を夜明けをカーソンは歩くのである。鳥や虫の音を聞き、嵐を体験し、花や空や星を見るのである。

 非常に短く、意図したとおりに完成された作品ではないが、自然に親しむことがいかに大切かという訴え、「センス・オブ・ワンダー」=「神秘さや不思議さに目をみはる感性」をすべての子どもたちに育みたいという著者の想いは伝わってくる。

 しかし、だからといってもう私などには遅すぎる。見方を変えるだけではとても排気ガスや鉄とコンクリート・アスファルトの塊でできている都会から本書に載せられている美しい自然 の写真を想像することさえ難しい。

 私などより若い世代、小さな子どもがいる人たちならまだ間に合うかもしれない。

 しかし、このような体験をしていないひとの「人間性」は駄目なのですよ、自然の「神秘」に触れたことのない人は不幸な可愛そうな人なのですよと憐れみを受けているような気分に もなるのである。僻み?その通りである。

 なお「センス・オブ・ワンダー〜レイチェル・カーソンの贈りもの」という長編記録映画(小泉修吉監督)があり、本書中の写真はその映画のスチールを担当した森本二太郎の作品。翻訳は神とお稽古、いや上遠恵子である。


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