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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2007060002 | 京極夏彦 | 陰摩羅鬼の瑕 | 2003 | 日本 | 講談社文庫 |
評者:発起人 評価:9 読了日:2007/06/03 公開日:2007/06/04
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ま、まさかぁ!そ、そんなあ!!−京極堂シリーズ第7弾 |
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外伝的な作品集は別にして、『塗仏の宴 宴の支度』(1998)、『塗仏の宴 宴の始末』(1998)から5年ぶりに出版された京極夏彦(きょうごく・なつひこ、1963-)による京極堂(=中禅寺秋彦)シリーズ第7弾である。 陰摩羅鬼(おんもらき)とは鶴に似た鳥の形をした妖怪であり、「新たなる屍の気」が変じたものだという。 信州白樺湖畔に立つ由良(元)伯爵邸、まさに想像を絶する規模の西洋館である。地元の村人たちからは「鳥の城」と呼ばれているその邸には無数の鳥の剥製があった。 この由良家の当主・由良昂允(ゆら・こういん)はすでに華族制度が廃止された現在(昭和二十八年)でも「伯爵」と呼ばれ、執事・山形や使用人たち、そしてあらゆる種類の鳥の剥製と暮らしていたのである。 ところが過去4度、「伯爵」家へ嫁いだ花嫁たちは例外なく翌日の朝死体となって発見された。そして「伯爵」は5度目の花嫁を迎えようとしていたのである。昂允は今度は絶対に花嫁・奥貫薫子(おくぬき・かおるこ)を守り抜くと決意していたのだが・・・。 長野県警やかつて県警でこの事件を捜査したことのある伊庭銀四郎(現在は引退し一人暮らしである)、探偵・榎木津礼二郎や付き添いの関口巽が警戒する中しかしまたもや惨劇は繰り返された! 伊庭の依頼で「憑き物落し」を依頼された京極堂が乗り出すが・・・。 物語は三人の視点によって綴られる。警護を依頼されたが病気で視力を失ってしまった榎木津礼二郎の付き添い役として館に呼ばれた関口巽、伊庭銀四郎(『今昔続百鬼−雲』(2001)所収の「古庫裏婆(こくりばば) 多々良先生行状記C」で登場しています)、そして父・祖父から残された膨大な蔵書で世界を知った由良昂允(「伯爵」)その人である。 今回の薀蓄は江戸時代初期の儒学者・林羅山(1583-1657)や宗教としての儒教についてであり、また「伯爵」の思想に大きな影響を与えたらしいドイツの哲学者・ハイデッガー(1889-1976)も顔を出す。さらに儒教の死生観、世界各地の葬礼など、京極堂が憑き物落しのために繰り出す言葉の奔流に登場人物たちも読者(=私)も引き込まれてしまうのである。 ん?そんなのありかあ!と叫びたくなる向きもあるかもしれないが京極夏彦にとりつかれている私=発起人としてはこれでいいのだ、これしか解決はないのだ、それに薀蓄部分だけでもほかの小説より面白いじゃないかと納得してしまうのである。 「謎とは知らないこと。不思議とは誤った認識」 「神も仏も、幽霊も祟りも、何もかも−そんなものは全部嘘です」 なお、この作品には関口巽が横溝正史(よこみぞ・せいし、1902-1981)と出会い会話をするという場面もある。 さて私の枕頭の書はすでに『後巷説百物語』(2003)に移っている。 |