感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007040003 畠中恵 しゃばけ 2001 日本 新潮文庫

評者:発起人    評価:5   読了日:2007/04/08  公開日:2007/04/08

大江戸版ハリ・ポタか?−妖(もののけ)が多数登場する人気シリーズ第一弾!

 しゃばけ?いったい何だろう?と思ってページを開くと、

「娑婆気(しゃばけ) 俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心」と国語辞典からの引用がある。

 物語は主人公の「若だんな」・一太郎(十七歳)が深夜、湯島聖堂のそばで何者かに襲われる場面から始まる。しかし若だんなの様子は普通ではない。付喪神(つくもがみ=「器物が百年の時を経て成る妖怪」)の「鈴彦姫」や妖(あやかし)「ふらり火」などの助けを借りてピンチを脱するのである。

 しかも家(=大廻船問屋・長崎屋)に帰れば大甘の父・藤兵衛、母・おたえだけではなく、手代の仕事をしているものの実は妖である佐助(=犬神)、仁吉(=白沢)が身の回りの世話をやき、あらゆる危機から若だんなを守っている。さらに「鳴家(やなり)」や「屏風のぞき」などの妖が若だんなの相談相手でもある。

 一太郎は体が弱く無理ができない。しかし、どうやら一太郎を襲った男はその夜大工を殺している。その後下手人は捕まったのだが、同じような殺人事件が連続して発生するのである。下手人はそのたびに別の男である。そして再び若だんなも襲われる。

 若だんなと妖たちの関係は?読み進んでいくうちに若だんなの過去と事件の真相が明らかになっていく。まったく甘やかされて過保護に育てられているように見える若だんなだが推理力と悪と戦う勇気は持っているようだ。

 そして「犯人」との命を賭けた対決!・・・。

 こうして若だんなは成長していくのである。

 はっきり言って日本版・ハリポタだね。でも何しろ背景は江戸時代、肩肘張らず、ゆるい雰囲気である。テンポもハリウッド調ではなく、お茶菓子などを食べながらののんびりした展開である。若だんなを守る妖たちも微妙にずれていて頼りになるのかどうかわからない。「敵」もそんなに強力ではなさそうである。

 作者の畠中恵(はたけなか・めぐみ、1959-)は本書で「日本ファンタジーノベル大賞優秀賞」を受賞して小説家デビューしたそうであるが、私としてこのシリーズを追いかけていくかどうかは未定である。ちなみにこのシリーズの第二作は『ぬしさまへ』(2003、新潮文庫←新潮社)。


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