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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2007040002 | 京極夏彦 | ルー=ガルー 忌避すべき狼 | 2001 | 日本 | 徳間書店 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2007/04/04 公開日:2007/04/04
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無機的近未来社会で頻発する連続少女殺人事件の謎 |
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おそらく2040年ごろの日本。すでに学校というものはなく、子どもたちはモニターで学び、携帯端末で連絡を受け取り、IDカードを持っている。月に一度のコミュニケーション研修で「リアルアクセス」が行われるが「カウンセラー」も担当児童のデータベース作りに参加しているようなものである。 無菌状態の都市と住宅、防犯=監視カメラ(集像機)がどこにでも設置されデータは記録され集積される。食べ物は合成食材、生き物を食べることはない。 そんな清潔だが息詰まりそうな究極管理社会のとあるエリア(行政区域)で起きた14〜15歳の児童ばかりを狙った凄惨な連続殺人事件。この事件に巻き込まれた少女たち(牧野葉月、都築美緒、神埜歩未、麗猫たち)が犯人を追い詰める。この中で彼女たちはいつの間にか研修などでは学べないコミュニケーションを、「仲間」意識を育てていく。 自分に絶望しているカウンセラー不破静枝と落ちこぼれ中年刑事の橡(くぬぎ)も否応無しに真相に迫っていく。 さて意外な犯人と動機、そして解決は? ううっ!ひょっとしてそうかそういうことかと思っていたとおりの展開だが、最後の派手なクライマックスとアンチクライマックスな結末はなかなかよろしい。 ネットやアニメ誌などで広く読者に近未来の事象をテーマ別に予測してもらい、それを素材にして京極夏彦(きょうごく・なつひこ、1963-)が本書を料理したということらしいが、うーん、政治・経済予測が欠落していること、世界的な視点が無いことで、物語に奥行きが出ていないともいえる。つまり子どもの視点なんだな。 まあそれがこの異色作の魅力のひとつでもあるし、またそれでも京極夏彦でもあるし、それなりに面白いのだが・・・決して会心作とは呼べないような気がする。 「双方向性」なんかにこだわっていると参加者が多い会議みたいなもので、強烈に面白い作品はできないということかもしれない。 |