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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2007030001 | 真山仁 | バイアウト | 2006 | 日本 | 講談社 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2007/03/04 公開日:2007/03/04
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大型企業買収(バイアウト)に挑むハゲタカ−最後の逆転策は? |
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『ハゲタカ』(2004)の最後で「復讐」を遂げた鷲津政彦はしかし日本にはいられない身となり海外を放浪していた。その間日本では鷲津が後を託したアラン・ウォードが「事故死」を遂げる。 そして、2005年2月、ハゲタカが一年ぶりに日本に戻ってきた。 何のために?本物の大型買収を成功させるためである。 最初のターゲットは歴史と伝統にあぐらをかき経営危機に陥っていた「鈴紡」だった。「鈴紡」は超優良企業「月華」と稼ぎ頭である化粧品部門の統合交渉を続けていた。鷲津はその背景にある「UTB銀行」の狙いを見抜き、別の提案で「鈴紡」を狙う。「鈴紡」には元「三葉銀行」のエリート行員・芝野健夫がCRO(最高事業再構築責任者)として、そしてその背後には今や「UTB銀行」頭取となった飯島がいた。両者は行き詰る買収合戦を繰り広げる。情報収集、広報戦略そして取締役、従業員、販売店たちを見方につける戦略−。 総力戦の結果、「鈴紡」は鷲津の率いるホライゾン・キャピタルの手に落ちたーと思われたが、最後の大逆転が? 「鈴紡」の決着後、鷲津は親会社である「ケネス・クラリス・リバプール」(KKL)から解任され、仲間たちと「サムライ・キャピタル」を創設、巨大総合電機メーカー・曙電機の買収戦に加わる。ここでも「UTB銀行」が(そして芝野が)、そしてコピー機から出発し今やエクセレント・カンパニーである「シャイン」が、さらには曙電機の保有する軍需転用可能な技術を狙う米国の軍産複合ファンド「プラザ・グループ」が鷲津たちの前に立ちふさがる。 「鈴紡」以上に厳しい包囲網が引かれ鷲津には勝ち目がないように思われた。最後の大逆転はあるのか? 『ハゲタカ』以上に大規模な本格的企業買収の実態が描かれるが、リアリティという点では前作に劣る。とりわけ曙電機をめぐる買収劇では実態にあわないナショナリズムが勝負の帰趨を決してしまう。 鷲津の人格はかなり支離滅裂となっている。芝野の影は薄く、もうひとりの主役かと思われた栃木の名門ホテル「ミカドグループ」経営者・松平貴子は登場場面もほとんどない。アラン・ウォードの死の真相も解明されない。巨大企業・金融機関と政治との腐蝕した関係も示唆されるだけで具体的には明らかにされない。 そうした「欠点」はあるとは言え、上下巻750ページ以上を一気に読ませる迫力と面白さを持った作品ではある。ぜひ作者にはこの続編を書いて欲しいと思う。 さて、本書と『ハゲタカ』を原作としたNHKドラマ「ハゲタカ」のほうは全6回シリーズのうち3回が放送されたが、こちらのほうは原作よりひとまわりスケールが小さくまたマイルドである。原作では鷲津の行動のひとつの動機として描かれているこの国を腐らせてきたものたちへの怒りが希薄である。でもこちらもおもしろいので私は3回全部見てしまったのである・・・っていつの間にかテレビ番組感想文になっている。失礼。(・・・以降は前回と同じである。) |