|
感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2007010005 | ジェフリー・ディーヴァー | エンプティー・チェア | 2000 | アメリカ | 文春文庫 |
評者:発起人 評価:9 読了日:2007/01/21 公開日:2007/01/21
|
「空っぽの椅子」に何が見える?−ライムとサックスが対決? |
|
四肢麻痺状態の科学捜査専門家、リンカーン・ライムを主人公とするシリーズ第三弾は舞台をニューヨークからノースカロライナ州の田舎町に移した。 この州にある病院で最先端技術に基づく脊椎手術を受けるためライムはやってきたのである。科学捜査官としていわばライムの手足となって働く元モデルにしてライムの「パートナー」であるアメリア・サックスそして介護士のトムが同行している。 手術を控えたライムは殺人・誘拐事件の捜査をパケノーク郡保安官ジム・ベルから依頼される。リスクがある手術を前にしてライムは捜査協力を引き受けるが、最新鋭の分析機器やデータベース、ニューヨーク市警やFBIなどのチームも無く、何よりも土地勘ゼロのところで、いわば「陸の上の魚」状態である。 ライムは間に合わせの古い機器や大学院生などの力を借りて監禁されているメアリー・ベス・マコーネル、誘拐されたリディア・ジョハンソン、そしてその容疑者と目される少年ギャレット・ハンロンの行方を追う。少年はメアリー・ベスを誘拐した際に救出しようとした男を殺害した容疑もかけられている。 手がかりは少なく、昆虫マニアのギャレットは昆虫に学び、ライムたちの追跡の先の先を読んで、罠を仕掛けては追跡をかわす。しかも地元の保安官チームはライムたちを心よく思っていない。密造酒グループたちも少年を追う。もちろんアメリカであるから全員が銃で武装している。 はたしてこのような状況で少年を捕まえ誘拐された二人を救出できるのか? もちろん、ジェフリー・ディーヴァー(1950-)がそのような単純な追跡劇で物語を終わらせるわけはない。 後半部ではなんとアメリア・サックスがライムの指示に背いてギャレットと行動を共にするのである。地元警察いや言わば土地全体を敵に回したサックスの行方は?もちろんライムにも危機が迫る。 二転三転どころではなく転回する真相は?いったい誰を信じていいのか?読者は最後の最後まで気が抜けない。そして読後の感動は圧倒的である。背後にある恐るべき陰謀の正体があきらかになる。 ジェフリー・ディーヴァーはおそらく現代アメリカのサスペンス小説の書き手としては最高水準に達している。第四作は『石の猿』?うーん、単行本で買うにはちょっと迷うので早く文庫化してね>文春文庫様。 |