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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2007010004 京極夏彦 巷説百物語 1999 日本 角川文庫

評者:発起人    評価:9   読了日:2007/01/14  公開日:2007/01/14

サイコ怪奇本格推理時代仕掛人小説(?)シリーズ第一弾!−「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」

 このところ私・発起人が寝る前に読んでいるのが京極夏彦の作品。

 この『巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)』の時代設定は江戸時代。昭和27年頃を背景としている京極堂シリーズとは異なるシリーズである。

 しかし、このシリーズでも妖怪たちが登場する、いや妖怪たちが有効に使われていることは変わらない。

 本書に登場する妖怪(あるいは怪異現象)は、各編の題名にもなっているが、「小豆洗い」、「白蔵主(はくぞうす)」、「舞首(まいくび)」、「芝右衛門狸」、「塩の長司(ちょうじ)」、「柳女(やなぎおんな)」そして「帷子辻(かたびらがつじ)」である。

 各編で現れる妖怪変化たちは実は妄念に取り付かれた者たちだけに見える。また自己の犯罪や非道を隠すために怪異現象を作り出す者が人々に見せるのである。

 しかし、「小股くぐりの御行又市」、「山猫廻しのおぎん」、「考物(かんがえもの)の百介(ももすけ)」、「事触れの治平」たちのチームは金で仕事を請け負い、仕掛を作って怪異現象を逆手にとって闇に蠢く者たちを裁いていく。

 ここにも不思議なことなど何も無い。

 闇に逃れようとする者たちに逃げ場は無いのである。

 あるいは又市たちの仕掛けによって地獄のような自己の性(さが)から解放されると言ってもいい。

 京極堂の饒舌は無いが、擬古調の滑らかな地の文体と生き生きとした会話文が全体を引き締めている。この作者の特徴である合理性も貫かれており、サイコ怪奇本格推理時代仕掛人小説とも言うべき傑作となった。

 さて次は『百器徒然袋−雨』(1999、講談社文庫)だ!


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