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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2006120002 山崎豊子 華麗なる一族 1973 日本 新潮文庫

評者:発起人    評価:8   読了日:2006/12/16  公開日:2006/12/16

野望渦巻く銀行界を描いた名作−TBS系でキムタク主演でドラマ化

 骨太な作風で次々と大作を出してきた巨匠、山崎豊子(やまさき・とよこ、1924-)が銀行界を舞台として1973年に発表した名作。

 阪神銀行頭取の万俵大介には大いなる野望があった。父・敬介から受け継いだ銀行を中心とする万俵コンツェルンの総帥である彼は現在の都市銀行中第10位という地位に甘んじていたくなかった。

 現在よりはるかに規制が厳しく、大蔵省や政治家の胸先三寸で銀行の運命が決せられる時代に、「小が大を喰う」合併のシナリオを描き、規制緩和・自由化の時代でも勝者となる−そのために大介はあらゆる手段を駆使する。

 ひとつの戦略は閨閥作りであった。すでに長女一子は大蔵省主計局次長の美馬中に嫁がせている。美馬は永田大蔵大臣や銀行局長の派閥に属し大介の官界・政界工作に必要な情報源である。

 長男・鉄平は元通産大臣の大川一郎の長女・早苗を娶り、次男・銀平には阪神銀行の筆頭株主である大阪重工社長の娘・万樹子との縁談を進めている。

 次女・二子には佐橋総理大臣婦人の係累にあたり、帝国製鉄秘書課勤務のエリートをあてがおうとする。

 こうした閨閥作りに能力を発揮するのは公卿出身の妻・寧子とは異なり元・家庭教師だった高須相子である。寧子と相子は大介と同じ食卓に座り、妻妾同居(ときには同衾)という異常な状態にあった。

 着々と権力を増大させてきた大介であったが思う通りに動かないのが長男・鉄平であった。鉄平は東大・冶金科からMITを出て、グループ傘下の阪神特殊鋼の専務をしていた。性格・容貌が祖父・敬介とそっくりで、阪神特殊鋼に銑鉄からの一貫生産体制を築くため高炉建設に突っ走る。

 大介は鉄平の出生に疑惑を抱いていた。その疑惑のためか、あるいはより大きな野望のためか、大介は阪神特殊鋼を利用して阪神銀行より上位の都市銀行・大同銀行に触手を伸ばす壮大な仕掛けをほどこす。

 この父と子の激しい対立を軸に、銀行内部・業界の陰湿な闘争、政官界との癒着関係などが息つく暇もないストーリーの展開に伴って読者の前に描き出される。

 大介の野望は達成されるのか?鉄平の夢は実現されるのか?

 さてこの作品は来年1月からTBS系で連続ドラマ化される。大介には北大路欣也、鉄平に木村拓哉などというキャスティングであるがなにしろこの作品は支店開店は年に一銀行一支店と限られていたようなガチガチの規制時代を背景にしている。すでに主要都市銀行は3、4グループに集約されている現代から見るとわかりにくいこともあるかもしれない。


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