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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2006100005 | 三島由紀夫 | 美しい星 | 1962 | 日本 | 新潮文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2006/10/31 公開日:2006/10/31
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人類は生き延びる価値があるのか−滅亡に対峙した傑作 |
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埼玉県飯能市に住む大杉一家は、当主の重一郎が火星人、妻の伊余子は木星人、そして長男雄一が水星人、長女の暁子は金星人であった!平凡な家族はそれぞれ空飛ぶ円盤を目撃し、自らの出自を認識するようになったのである。 重一郎は水爆戦争の危機、すなわち滅亡と虚無、そうした事態から目を逸らせて生きている地球人たちと「美しい星」を何とか救おうと「宇宙友朋会」を組織、家族の助けを借りて活動を進める。 いっぽう、仙台には法学部助教授の羽黒と床屋の曽根、銀行員の栗田のグループがいた。かれらは白鳥座第61番星の未知の惑星から来たと自覚していたが徹底的に地球の破滅を促進しようとしている。地球人には生き延びる資格がないと信じている。 重一郎と羽黒たちはこの小説の後半でドストエフスキーを彷彿させる思想論争を繰り広げる。神に匹敵する破壊力を持つようになった人類は生き延びる能力・資格・意欲があるのか。結局は核戦争の釦(ボタン)は押されるのか。 サイドストーリーとして雄一と若手保守政治家・黒木との関わり、同じ金星人だと名乗った竹宮と暁子との関係なども語られていて、堅苦しいだけの観念小説ではもちろんない。 透徹した視線と論理的かつ美しい文体は三島由紀夫が同時代の世界的水準に達していた作家であることを改めて認識させてくれる。 本書が出版された1962年10月には米ソが全面核戦争の直前にまで至ったキューバ危機が起こっている。『美しい国』の著者はこの小説を読んだことがあるのだろうか? |