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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2006100001 | 桐野夏生 | 魂萌え! | 2005 | 日本 | 毎日新聞社 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2006/09/30 公開日:2006/10/01
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夫の突然の死からの衝撃と回復を描く−NHKドラマ化&映画化 |
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関口敏子(59)は、すでに会社を定年退職していた夫の隆之(63)が心臓発作で急死するまでは「箱入り」専業主婦だった。 隆之の死は今まで敏子が知らなかった家の外での夫の姿を、別居していた子どもたちの世界を、広く言えば社会の現実を否応なしに彼女に知らしめることになった。 とりわけ衝撃的だったのは夫の長年の愛人(伊藤昭子)の存在だった。隆之は亡くなった日にも手打ち蕎麦の会だと偽って昭子の家(蕎麦屋ではあったが)に行って帰ってきて風呂場で倒れたのだ。昭子と敏子の行き詰る対決! またミュージシャンになるという夢を追ってロサンジェルスに渡ったが今では挫折している長男の彰之(35)や家を出てコンビニでバイトをして暮らしている美保(31)たちと遺産相続をめぐって嫌な悶着を繰り広げるが、それが若い世代が直面している問題をも浮かび上がらせる。 隆之が参加していた手打蕎麦教室を主催する今井やその生徒で元デパート外商部長の塚本、敏子の高校時代からの友人たち三人(和子、美奈子、和江)、「プチ家出」をして泊まった立川のカプセルホテルで知り合った宮原という老婆とその甥・野田、デパートの喫茶店で知り合った西和泉佐和子という三歳ほど年上の女性等々の人たちと対立し、好意を持ち、憎み、嫉妬し、共感し、相談し、相談されて、この急速に老いていくかと思われた主人公は前向きに生きはじめる。 もちろんこのような「箱入り」状態になっていたのは敏子だけのせいではない。だがこれからは夫に頼って(しかもその夫が自分をすべてではないけれど重要な部分で裏切ってきたのである)生きていくという状況から脱出しなければならないのだ。 桐野夏生(きりの・なつお、1951-)はすでにミステリーという言葉を冠さなくても立派にやっていける小説家になった。(まあ、そこが私なんかには少々物足りない気もするのであるが・・・) 団塊の世代の大量定年を前にして、その妻たちの苦悩・喜び・問題を狭い夫婦問題にとらわれることなくひとつのしっかりした作品に結実させた。より若い世代のベストセラーにありがちな、死んでしまった恋人との思い出やありえない復活を描いて泣きを誘うような甘い感傷はこの作品には無い。はっきり言うとそれだけの余裕は実はもう残されていないのである。 NHKでは10月21日から全3回で(出演は高畑淳子、高橋恵子など)ドラマ化放映される予定。映画は阪本順治監督、風吹ジュン、三田佳子ほか出演で2007年初春から全国ロードショーだそうである。 なお、この題名の読み方は「たまもえ!」であるが、これはいったい?? |