感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2006080007 梅田望夫 ウェブ進化論 −ほんとうの大変化はこれから始まる 2006 日本 ちくま新書

評者:発起人    評価:9   読了日:2006/08/22   公開日:2006/08/24

ネットの無限の可能性を信じて前に突き進む−「革命」の本質をわかりやすく解説

 こうして本についてのホームページを作ってしつこく更新を続けているのに、ウェブやインターネットについての本を今まで一冊もちゃんと読んでいないことに気がついた。

 本などというオールド・メディアにこだわっているせいかネットの情報はネットで仕入れればいいなどと安易に考えていたのである。

 またこのホームページはぜんぜんインタラクティヴではなく、一方通行であり、コラボレーションの可能性もなく、ましてや新たな知を創造するなどということもできず、ひたすら自己満足に耽り、テレビドラマ化された作品の感想文でアクセス数を支えているというていたらくである。

 コストは無限にゼロに近づいているというのに、新しい技術的成果も取り入れず、暇つぶしに終始し、広告を入れたり、アフィリエイトになったりして小遣い銭を稼ぐという気力もないのである。

 しかしこんな私でも、ネットの無限大の可能性はいちおう信じているつもりである。ところが最近ではネットを金儲けの手段としてしか考えず、ネットのオープン性を自ら否定して「囲い込み」に終始する企業がとくに日本では主流になってきていて、こうした輩と国家権力がネットをつぶしてしまうのではないかと半ばあきらめていた。

 しかし、この本によるとまだまだシリコンバレーは、そして巨大企業に急成長したGoogleはネットの可能性を信じて前に突き進み、大変動を定着させすべてを変える「革命」に邁進しているように思われる。エスタブリッシュメントを、そして知の創造のあり方を根源的に変えようとしている。

 もちろん事態はそんなに単純ではない。またこの革命は一夜にしてなるのでもない。しかしこの大変化をちゃんと見据えていないとシリコンバレーでテクノロジー開発にしのぎを削る企業に勤めている人でなくても現実を把握することができなくなるよと著者の梅田望夫(うめだ・もちお、1960-)は警告を発しているのである。

 ウェブに子どものころからなじんでいる世代と旧世代との感覚の差は大きい。また、Googleを生み出した米国と情報技術の大企業がウェブを「利用」するという発想の日本との落差もさらに巨大である。

 しかしそのような現実を前にしてただただ拱手傍観しているだけでは能がない。著者はシリコンバレーと日本の、新しい世代と古い世代との橋渡し役を買ってでているのだ。94年からシリコンバレーに住んでコンサルティング会社を経営、米国や日本のIT業界、ネットの動きに詳しい人なのである。

 日本企業・社会の閉鎖的体質に息苦しさを感じている人、ネットの革命的意義が理解できない人、理解しても体感していない人、ネットってなんだろうと思う人はぜひ一読してみてはどうだろう?

 私は久しぶりにネットが引き起こしている革命が圧倒的な楽観主義と行動力に支えられて今でも進行していることが確認できて興奮した。


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