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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2006080006 マーク・トウェイン トム・ソーヤーの探偵・探検 1896 アメリカ 新潮文庫

評者:発起人    評価:5   読了日:2006/08/21   公開日:2006/08/21

隠れたトム・ソーヤーもの二編−絶版になってます

 現代アメリカ文学の源泉とも言われるマーク・トウェイン(1835-1910)によるトム・ソーヤーと「僕」(ハックルベリイ・フィン=ハック)を主人公にしたシリーズの二編。本書の訳者、大久保康雄(1905-87)は「あとがき」で両編とも1877年に発表されたように書いているが、実は『トム・ソーヤーの冒険』(1876)、『ハックルベリイ・フィンの冒険』(1884)の超有名な二作よりあとに発表されたものである。

「トム・ソーヤーの探偵」(1896)では、トムと「僕」(ハック)はセントルイス郊外のポリー叔母さんのところからアーカンソーのサイラス叔父/サリー叔母さんのもとへ行くことになったが、途中の船で出会った男から二個のダイヤモンドを盗み出した秘密を打ち明けられる。アーカンソーではサイラス叔父さんが殺人の疑いで逮捕される。この二つの筋が交錯し、トムは真相究明のためサイラス叔父の裁判に特別弁護人として出廷し、謎を解いていく。

「トム・ソーヤーの探検」(1894)はトムと「僕」(ハック)と二人が自由にした黒人ジムが天才「博士」の発明した新型「気球」に乗ってセントルイスから大西洋を越えてサハラ砂漠(サワラ砂漠と表記されている)やエジプトでさまざまなめずらしい体験をする話である。

 正直言って二編ともかなり苦しい。「探偵」はスウェーデンで実際に会った事件を基にして書かれたそうであり、「探検」はジュール・ヴェルヌの質の悪いパロディという感じ。トム−ハックやトム−ジムの掛け合いにも鋭さがなく、凡庸である。

 翻訳も今ではとても出版できないだろう差別用語満載。もともとは1955年に出ているこの新潮文庫版、1994年に「小部数限定復刊」されたものだが、今では絶版になっている。 


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