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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2006080005 | フレデリック・フォーサイス | ネゴシエイター | 1989 | イギリス | 角川文庫 |
評者:発起人 評価:6 読了日:2006/08/17 公開日:2006/08/19
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ネゴシエイター(交渉人)が大陰謀を暴き出す |
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フレデリック・フォーサイス(1938-)が1989年に発表した長編。 1989年と言えば日本では昭和が終わり、平成が始まった年。竹下→宇野→海部と首相が交代した年でもある。幼女連続誘拐殺人事件の容疑者として宮崎勤が逮捕された。美空ひばりや手塚治虫が逝去した。 世界に目を転じれば、現職のお父さん、ジョージ・ブッシュがアメリカ大統領に就任、改革を掲げていたソ連のゴルバチョフ書記長とマルタ島で会談、冷戦終結が宣言された。ベルリンの壁は崩壊し、ポーランドでは連帯が政権を握り、ルーマニア独裁政権も崩壊した。中国で民主化を求める学生らの運動が軍事弾圧された(第二次)天安門事件が発生したのもこの年。 まあ一言で言えば大変動が表面化した年だった。つまりフォーサイスと言えどもその後世界がどうなるか予測不可能だったのである。この小説ではゴルバチョフ書記長は1991年に健在であり改革・開放路線を続けているが、実際はその年にソ連は崩壊したのである。今では日本のバラエティ番組などにも登場しているゴルバチョフであるが当時は世界の二極のうちの一極のリーダーだったのである。 アメリカでは1989年に共和党だが学者肌のジョン・コーマックが大統領に就任しており、大統領の別荘があり米ソ首脳が会談した地名を取ったナンタケット条約で通常兵器の大幅削減に両国は合意した。実際には通常兵器の削減合意などは行われなかったことはご存知の通り。 さてこのナンタケット条約の批准を阻止しようとする勢力はアメリカにもソ連にもいた。そして彼らは世界を股にかけた大陰謀を計画するのである。この陰謀は複数の計画からなっていたが、コーマック大統領の一人息子で英国のオックスフォード大学に留学しているサイモンを誘拐することは重要な計画のひとつであった。 早朝ランニング中のサイモンが誘拐されると、米国ではマイケル・オデル副大統領を責任者とする危機管理委員会が組織される。危機管理委員会は犯行グループとの交渉に権限と責任を持って人質解放にあたるプロのネゴシエイター(交渉人)を人選する。それがスペインの片田舎に引っ込んでいたこの道のプロ、クインである。 実際に欧州を中心に誘拐事件が多発した時期に保険会社などは身代金の支払い額削減や人質の身柄確保を図るためプロの交渉人を雇っていたという。今ではどうなっているのか私は知らないが中東などで活躍しているのだろうか?クインは数々の交渉で実績を上げていた。 クインは大統領と直接会ったあと要請を受諾、英国に飛び、FBIやCIAの監視下、犯人グループからの接触を受け、難しい交渉を続ける。犯人グループの狙いは?彼らはどこにいるのか?サイモンの命は?この交渉過程が前半部の山場である。 後半には誘拐犯たちの背後にいる黒幕たちを追ってクインは英国、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、米国と欧米中を奔走して戦うのである。 ううむ、しかしこのあたりになるとクインの活躍ぶりはかなり神がかり的になってくる。登場人物や地名は世界中に広がっていくが、その分感動は薄まってくる気もする。 さて、ソ連のほかにもうひとつ現代では存在しなくなったものがこの小説にはときどき出てくる。旅客機内の喫煙席である。ソ連が無くなっても私は直接困ることは無いのだがこちらは困るのである。 |