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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2006040006 恩田陸 夜のピクニック 2004 日本 新潮社

評者:発起人    評価:4   読了日:2006/04/16   公開日:2006/04/16

どうしてあんなに絶賛されたのかわかりませんでした−恩田陸の「本屋大賞」受賞作

 

 夜を徹して80kmの道のりを歩く「歩行祭」はこの進学校らしい高校の全校生徒1200人が参加する一大イベントだ。とくに三年生たちにとっては、秋に行われるこの行事が終われば受験モードに突入するとあって、何か劇的な「思い出作り」を期待するのである。読者である私もこの設定から何か劇的な展開を予想したのである。

 物語は、歩行祭の朝始まり、七組の西脇融と甲田貴子の視線から交互に語られる。西脇融は戸田忍(♂)と、そして甲田貴子は遊佐美和子と最後にはゴールしたいと思っている。融と貴子はお互いに満足に口をきいたこともないがその存在が気になるのである。なぜか?それは二人がXXXXの関係だからなのであるが、貴子はこの「歩行祭」で密かにひとつの賭けをする・・・。

 はじめは余裕の生徒たちも次第に体力の限界に達し、表の仮面がはがれて本音の吐露が始まるのだが・・・。

 世評の高かった恩田陸(おんだ・りく、1964-)のこの作品、しかしながら、私にはまったく合わなかった。

 何でこの作品が「本の雑誌」が選ぶ2004年度ベスト10の第1位になり、第26回吉川英治文学新人賞や第2回本屋大賞を受賞したのか、私には理解できない。ひょっとして私にはこういう作品を鑑賞する感受性が欠落しているのかもしれない、人間的に欠陥があるのではないかと心配になってくるほどである。

 登場する高校生たちはみんなそれなりに美男美女であり、自分たちの立場をわきまえ、他人の心情を気遣うのである。ただ少々口下手なのでこのようなイベントがないと「本当の」気持ちが出てこない。男は女性的であり、女は男性的である、つまり性別が不明である。バカにするわけではないが私の想像する少女漫画の世界である。

 さらに言えば、この作品には謎や驚きがない。だらだら続く高校生版ソープ・オペラの世界である。気遣いとやさしさと無垢な誤解だけがこの作品を成り立たせている。

 登場人物たちと同じように私も80kmを完走したような疲れだけが残った。


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