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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2006030002 | 中島義道 | 私の嫌いな10の人びと | 2006 | 日本 | 新潮社 |
評者:発起人 評価:6 読了日:2006/03/22 公開日:2006/03/25
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最適の中島義道入門書−「ファン」は落胆?
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中島義道(なかじま・よしみち、1946-)の新刊であるが、一読、この人も丸くなったなあ!私などにはとても言語化できないが日ごろ感じていることをスパッと書いてくれる。私は拍手喝采し、溜飲を下げていたのである。しかし、本作は、期待度が高い分、落胆度も大きい。 しかし、凡百の同種の読み物に比べるとまだまだおもしろいところもある。 著者の嫌いな人10とは、@笑顔の絶えない人、A常に感謝の気持ちを忘れない人、Bみんなの喜ぶ顔が見たい人、Cいつも前向きに生きている人、D自分の仕事に「誇り」をもっている人、E「けじめ」を大切にする人、F喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人、G物事をはっきり言わない人、H「おれ、バカだから」と言う人、I「わが人生に悔いはない」と思っている人である。 ほとんどの日本人が好きなタイプの人たちあるいはそうありたいと思っているタイプである。しかし著者はそういう人たちの背後にある利己的な打算とそうした動機に気づこうとしない知的不誠実・怠慢・鈍感をえぐりだそうとする。 たとえば、「「いつも前向きに生きている人」にとって、そばにめそめそくよくよしている人がいると、結局は自分が不愉快だからなんですね。」(p83-84)とか、「「みんなの喜ぶ顔が見たい人」とは、マジョリティ(多数派)の喜ぶ顔だけが見えて、マイノリティ(少数派)の苦しむ顔が見えない人なのです。」(p55)等々。 しかし今回著者のメスさばきはあまり流麗であるとは言いがたい。挙げられている例が映画や小説、あるいは「うんこういう人はいるよね」的な日本人の共通了解を土台にしているからであり、著者の論証自体がそういう了解に安易に依存しているように思えるからである。あるいはかなり有名になった中島義道というブランドに依存しているのである。 そういう意味では中島義道の入門書としては最適の一冊になっている。しかし、ある程度この人の本を読んだ人にとっては、ああ、これはおなじみ中島節の薄い水割りだな、もっと強烈な奴をくれ!と言いたくなるのだ。 |