|
感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2006010006 | ウィリアム・シェイクスピア | じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ | 1598 | イギリス | 新潮文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2006/01/30 公開日:2006/01/31
|
言葉の応酬、機知と諧謔が充溢するシェイクスピアの喜劇二編
|
|
シェイクスピア(1564-1616)の喜劇二編が収められている福田恆存(ふくだ・つねあり、1912-1994)訳の新潮文庫版。 『じゃじゃ馬ならし』(1593頃)。イタリアのパデュアの金持ち、バプティスタにはカタリーナとビアンカという娘が二人いた。ビアンカには求婚者が絶えない。カタリーナも美人なのだが、その口の悪さでほとんどの男は閉口してしまう。とにかく下品だが小気味のいいカタリーナの啖呵、そしてこの「じゃじゃ馬」を慣らすと宣言したペトルーキオーのセリフの応酬が最高だ。 ビアンカに言い寄るグレミオー、ホーテンショー、そしてルーセンショーはさまざまな策略をめぐらしてビアンカの心を得ようとするというもうひとつの物語のほうがかすんでしまうほどである。 ペトルーキオーの、現代なら人権蹂躙と非難されそうなめちゃくちゃな行動に慣らされ、カタリーナはビアンカに「女房が亭主たるものにたいする本分」を次のように語る。 「まあ、なんという顔なさるの!その眉根の皺を解いて、怖い眼つきをおやめになったら。それは御主人を傷つけることよ。あなたの殿様を、あなたの王様を。・・・怒った女は濁った泉、泥だらけで、きたならしくて、せっかくの美しさも台なし。それでは、どんなにのどの渇いた男でお口をつける気がしない、一滴だって飲む気がしません・・・」 いやあくまでもこれはシェイクスピアが書いていることなので・・・。 『空騒ぎ』(1598ごろ)。イタリアはメシーナの知事、レオナートーの娘・ヒーローに求婚するフローレンスの貴族・クローティオーは、アラゴンの領主でメシーナに滞在中のドン・ペドロー一行に加わっていた。ところが、その異母弟のドン・ジョンの姦計によってヒーローの不倫を信じ込まされてしまう。クローティオーは結婚式の当日にヒーローを罵倒、ヒーローはショックで倒れてしまう。 いっぽうヒーローの従姉妹ベアトリスとペドロー一行のベネディックは顔をあわせれば悪口と皮肉ばかりだが、やがて互いにひかれていく。さて、最後にはハッピーエンドが待っているのか?この作品もやはり言葉の応酬の面白さとスピード感が命である。 現代日本の企業人である私がせめてかれらの十分の一でも言葉の応酬ができれば、会議で社長に罵倒されて沈黙してしまうということもないのである。 |