感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005120003 秦建日子 推理小説 2004 日本 河出書房新社

評者:発起人    評価:6   読了日:2005/12/16   公開日:2005/12/17

小説原稿通りに人が殺されていく!−篠原涼子主演ドラマ「アンフェア」の「原作」

 

 テレビドラマや舞台の脚本では有名である(らしい)秦建日子(はた・たけひこ、1968-)の小説デビュー作品。

 2006年1月10日からフジテレビ系で放映される連続ドラマ「アンフェア」の原作でもある。小説があってテレビドラマが生まれるというのは普通であるが、『推理小説』⇔「アンフェア」の関係はそんなに単純ではないようである。最初にテレビドラマ化の発想があり、それを小説化したのではないか、いやそれでは単なるノベライズである。

 この小説の中では『推理小説』と題された小説原稿が重要な役割を果たしている。つまり「アンフェア」が原作通りである場合には『推理小説』という小説がドラマでも登場するはずなのである。

 テレビドラマを見てその原作を読んでみようという人が百人に一人もいればその原作は大ベストセラーになるはずだが、本編の場合はこの効果がさらに増幅する仕組みになっているのだ。テレビの世界を知り尽くした作者とメディアによる仕掛けであると言えよう。

 六月十四日、新宿区の戸山公園で印刷会社社員・鈴木弘務が殺される。同じ場所を通りかかった女子高生・龍居まどかが死体を発見するが、彼女も「これが、リアリティ」「そして、オリジナリティ」と意味不明の言葉を発する犯人に殺される。

 この事件を捜査する警視庁きっての検挙率を誇る「無駄に美人」な雪平夏見は、ワーカホリックで部屋はごみだらけ、仕事をしていないときは飲んでいる。しかも「酔うとしばしば全裸で寝る」。新米刑事の安藤一之がこの雪平とコンビを組んで事件を追うが、『推理小説』という題名の原稿通りに人が殺されていく。

 この原稿の完全版はどこにあるのか?殺人現場に残された「アンフェアなのは、誰か」と書かれた栞の意味は?

 犯人はマスコミや出版社に原稿買取りを要求する。これはよくある叙述トリックか?それとも?

 出版社の編集者の仕事や文学賞、有名作家のゴーストライターなどのサイドストーリーもなかなかおもしろい。そして探偵役・雪平の過去がしだいに明らかになっていき、過去と現在が収斂していく。文体は荒いが、それも仕掛けのひとつである。

 さて雪平は事件の進行を阻止できるのか。「リアリティ」と「オリジナリティ」は結合されたか?


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