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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005100005 ローレンス・ブロック 過去からの弔鐘 1976 アメリカ 二見文庫

評者:発起人    評価:6   読了日:2005/10/27   公開日:2005/10/28

ファザコンとマザコン/罪と罰について−アル中探偵マット・スカダー登場!

 

 米国の作家、 ローレンス・ブロック(1938-)が1976年に発表した、アル中探偵、マット・スカダーのシリーズ第1作。私が今まで読んだ同じシリーズの『墓場への切符』(1990)、『倒錯の舞踏』(1991)、『獣たちの墓』(1992)、『死者との誓い』(1993)ではアル中探偵とはいいながら、禁酒を続けジムなどに通う健康的なマット・スカダーもこの第1作では酒気が抜けることはほとんどない。

 元警官のマットは、ある事件のため幼い少女を自らの銃弾で死に至らしめてしまい、それがきっかけで警官を辞めた。妻アニタとは離婚し、二人の子どもたちとも離れて、ニューヨークの安ホテルの部屋に一人で住み、元警官仲間がまわしてくれる「調査」を引き受けて暮らしている。

 罪と無力感に苦しむそんな彼のもとに持ち込まれた「依頼」は身体を剃刀で切り刻まれて殺された若い女ウェンディの父、ケイル・ハニフォードからだった。

 すでに事件そのものは解決していた。ウェンディよりさらに若いウェンディの同居人、リチャード・ヴァンダーポールが血まみれで往来で卑猥な言葉を叫んでいたのがきっかけで死体が発見されたのだった。リチャードは逮捕され拘留中に自殺した。

 何の謎もなかった。しかしウェンディは大学を卒業寸前でやめ、ハニフォード家とはほとんど連絡をとっていなかった。情婦のようなことをして生活をしていたらしいとマスコミは書きたてた。喪った娘はいったい家を出て死体で発見されるまでどのように暮らしていたのか、ハニフォードは知りたかったのである。

 マットは「調査」を引き受ける。悪とは何か?善とは何か?などという倫理的な問いを心に抱えながら、教会に寄付をし、酒を飲みながら、真相に迫っていく。

 真相は私にはあまりにも使い古されたパターンに属するもの(精神分析らしきものが援用されている)だと思えたのだが、今から30年近く前に発表されたことを考えると、キリスト教(一神教)的な厳格な思考パターンが息苦しいとは言え(また反面それが魅力でもあるのだが)、当時は新鮮で多くののファンをひきつけたのかもしれない。


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