|
感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005080007 | 本多孝好 | FINE DAYS | 2003 | 日本 | 祥伝社 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2005/08/22 公開日:2005/08/22
|
たんねんに繊細につむがれた物語集 -なかなかやるな!
|
|
本多孝好(ほんだ・たかよし、1971-)が2003年に発表した作品集。 私のようなオヤジが一般的に好むような小説ではない。ふん、世の中の厳しさや汚さも知らない若造が一人で透明に澄ましてるふりしてるんじゃねーよ、などと思うのである。 もちろんオヤジはこの作品集のターゲットでもありえない。オヤジに読んでもらいたい本ではないのである。帯には「女子高生からOLまで愛されて大ブレイク!」などと書かれている。 しかしこのように、もろにオヤジ排斥の姿勢を明確にしている本にたいしては私は変なこだわりを持って臨む傾向にある。 だが、読んでみると、なかなかのものである。たいしたものである。(これはオヤジにとってはかなりのほめ言葉である。) 表題作の「FINE DAYS」。高3の「僕」が喫煙を見つかり反省文を書かされていた居残りの教室に入ってきたのが「あまりに整い過ぎた顔立ち」の美少女&転校生で2年生の「彼女」だった。ところが「彼女」は不思議な力で前の学校で何人も「殺している」という噂が立った。そして彼女を侮辱した教師・ニヤケ(三宅)が学校の屋上から墜落死しているのが発見される・・・。真相は? 「イエスタデイズ」。家出している三男の「僕」は死期の近づいた経営者の親父にかつての恋人を捜し出して欲しいと頼まれる。「僕」はかつて彼女が住んでいた住所を頼りに古いアパートにたどりつくが、そこで見たものは?うんうん、「僕」は親父のことをちゃんと理解できるようになったじゃないか。 「眠りのための暖かな場所」。十二年前、九歳の妹を「殺した」姉の私は法学部の院生である。妹のことがトラウマになっていて、恋愛も進路も投げやりな状態であり、不眠の夜を送っている。同じゼミの学生・結城(♂)、彼をめぐって「私」を勝手にライバル視する立川明美、結城をつけまわしている吉川(♂)というサラリーマン。結城とともに住んでいるという正体不明の姉−。「私」は妹のトラウマから脱することができるのか。 「シェード」。「僕」が年上の「彼女」のクリスマスプレゼントに買おうかと思っていたガラスのランプシェード。もう一度訪ねてみると誰かが買ってしまったばかりだった。店の老婆が「僕」に紅茶をすすめ、そのシェードにまつわる話を語りだした−。私がいちばん気に入った古典的構成の作品。 肩肘張らずにゆっくり読めば、物語の世界に引き込まれる秀作ぞろいである。気取りも少なく、文章もていねいであり、物語の基本がしっかりしている。いささか覇気に欠け、予定調和的なところはあるとは言え、是非、オヤジも読んでみよう。 |