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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005080006 | 中村政則 | 戦後史 | 2005 | 日本 | 岩波新書 |
評者:発起人 評価:6 読了日:2005/08/17 公開日:2005/08/18
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概説書として手頃な一冊 −戦後理念具体化の失敗は挽回できるのか?
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戦後60年、というわけで読んでみたのが歴史学者、中村政則(なかむら・まさのり、1935-)による岩波新書の新刊、『戦後史』である。 とにかくこの60年間にはいろいろなことがあったのであり、事実自体の確定さえできていないことも山ほどあり、さまざまな論争も続いている。この現在進行形の歴史叙述の試みは非常に困難なものにならざるをえない。 そこで、著者の採用したのは「貫戦史」(Trans-war history)という方法だという。それは何か?いまひとつよくわからないのだが、戦後に戦前の連続面を強調して見るか、反対に断絶面を見るかという歴史学者の「断絶・連続」論争でいうと、「どちらかといえば連続説」(p5)だという。しかし、同時に「二者択一ではなく、その両面を、しかもグローバルな視点から捉えることはできないかと考えた」(p6)という。 また著者は記憶を重視し、「証言・回想記を多用」する歴史叙述を試みた。かなり唐突で牽強付会気味ではあるが、著者自身の記憶も多用されている。 著者の試みが成功しているかどうかは別にして、限られた紙幅の中で広く政治・経済・文化・社会についての戦後史を網羅しているという点で手軽な一冊である。巻末に年表もあり、参考文献一覧表もあり、歴史学者でない私のような素人が頭を整理するのには役立つ本である。またあまり学校の授業では重点が置かれない時期の歴史記述でもあるので、学生諸君にも手頃な入門書となっている。 だが、著者がイタリアの哲学者・歴史家のクローチェの「すべての歴史は現代史である」という言葉を引用している趣旨から考えると、この本が新たな未来を展望するという水準に到達しているとは思えない。 また、日本人が憲法に謳われている諸価値を実現し血肉化することに総体として失敗してきたのはなぜか。挽回する条件や戦略はあるのか?この点で著者の視点は静観主義にとどまっているような気がする。さらに鋭い分析・批判を期待したい。 |