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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005070007 | 横溝正史 | 悪魔の降誕祭 | 1958 | 日本 | 角川文庫 |
評者:発起人 評価:4 読了日:2005/07/20 公開日:2005/07/20
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名探偵・金田一耕助が遭遇した「小事件」三篇を収録
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一時は書店の角川文庫コーナーで半分ぐらいを占めていた(?)横溝正史(よこみぞ・せいし、1902-1981)もいつのまにかあまり見かけなくなった。「不当・不適切と思われる語句や表現」を「一部を編集部の責任において改める」云々という但し書きがついた「金田一耕助ファイル」と銘打って改版されたものは出ている。 私がほぼ8年ぶりに手に取った横溝作品であるこの『悪魔の降誕祭』は、表題作を含む三篇が収録されている。「金田一耕助ファイル」とは記されていないが、すでに42刷(1999年2月10日発行、初版は1974年8月10日)も出ているバージョンであり、編集部による変更があったかどうかはわからない。(角川書店のウェブサイトによると、本年8月25日に角川文庫でこの『悪魔の降誕祭』新版が発売されるらしい。) 「悪魔の降誕祭」(「オール読物」昭和三十三年一月号、後中篇化して同年東京文芸社から刊行)では緑ヶ丘荘(目黒区か?)に住む金田一耕助のもとへ、「小山順子」と名乗る女からどうしても会いたいという電話が入る。昭和三十二年十二月二十日の夕刻である。ちょうど警視庁捜査一課の等々力警部と外出しようとしていた金田一は夜九時に部屋で面会する約束をし、所用を済ませて戻ってみると、そこで発見したものは女の服毒死体だった!しかも金田一を挑発するように部屋の日めくりが二十五日まで破られていた。これこそ犯人による降誕祭(クリスマスですね)での大胆な犯行予告だった。 「女怪」(「オール読物」昭和二十五年九月号、1959年に東京文芸社から刊行)。昭和二十×年の九月初め、金田一耕助の解決する事件の記述者である「私」(「先生」)は「八つ墓村」事件を解決して懐の豊かな金田一から伊豆の鄙びた温泉場Nに誘われ、のんびりしていた。ところが旅館の近くにある「狸穴(まみあな)の行者」という新興宗教の修行場の近くの墓場で二人は墓荒らしに遭遇する。金田一が惚れているらしい銀座裏の『虹子の店』のマダムとこの「狸穴の行者」こと跡部通泰の関係は?金田一の恋の行方は?(ちなみにこの事件のとき、金田一は緑ヶ丘ではなく、「かれの中学時代の同窓で、いまは土建屋になっている、風間という男の、二号とかが経営している、大森の割烹旅館の離れ座敷」で「悠々として居候の権八を極めこんでいる」(p169)) 「霧の山荘」(昭和三十三年十一月「講談倶楽部」、後1961年に東京文芸社から刊行)。避暑でK高原のPホテルに滞在していた金田一は江馬容子という女性の依頼で彼女の義理の伯母にあたる往年の女優、紅葉(本名は西田)照子のM原の別荘に赴いた。迷宮入りになった事件の犯人に遭遇したと照子は言っているのだという。ところが折からの霧で道に迷った金田一はアロハ姿の男の出迎えを受け、照子の別荘に案内されるが、別荘には鍵がかかっていて外からのぞいて見るとそこには照子の刺殺体が・・・。 各編とも本格推理小説の命というべき論理という点でかなり無理があるというか、破綻しているところがあるように見受けられる。また横溝作品の魅力である怪奇・猟奇趣味もほとんど前面には出ていない。金田一耕助というキャラでなんとか持たせているという感じである。金田一が遭遇し、解決した大事件の谷間の小事件集というところか。 「はあはあ」(「萌え」ではなく、あいづちを打っているのである。)、「そうです、そうです」(二回うなずくんですね!)そして「イカの墨汁のようにドスぐろい胸さわぎ」など、昔かなり読んだ私にとっては懐かしい横溝フレーズ満載の作品集でもある。 |