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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005070001 | 福島章 | 犯罪心理学入門 | 1982 | 日本 | 中公新書 |
評者:発起人 評価:4 読了日:2005/07/02 公開日:2005/07/03
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犯罪心理学は娯楽か?御用学問か?−犯罪的心理学入門
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いろいろな学に入門して、その度に叩き出されている私、今回は犯罪心理学に入門だ。 犯罪者の心理を知ってどうするのか?もちろん私には何の役にも立たないが、小説を読んでいて犯罪者の心理描写がかなり紋切り型のように思えることが多く、実際はどうなのかという好奇心があったのである。 著者の福島章(ふくしま・あきら、1936-)は精神科医で犯罪心理学者、上智大名誉教授。いろいろな事件の精神鑑定もしているらしい。 さて、著者は実際の事例について「生物学的次元」、「医学心理学的次元」、「社会的環境的次元」などから「多次元診断」を行い、「「変質者」とか「精神病質」といった一語によるラベリングをしない」(p29)と言っている。 たしかにいろいろな「次元」で分析をしているように見えるが、そもそもの「次元」自体が学問としての検証を経ているものなのかどうかが私にはよくわからない。学としての「心理学」や「精神医学」を私がよく理解していないという問題なのであろうが、間違った前提に立つ次元をいくら寄せ集めてもそれで「診断」の精度が高まるとは思えないのである。 たとえば日米の犯罪率の差についての考察で著者は数点を列挙しているが、「(4) 草食人種日本人の攻撃性は、肉食人種の欧米の人びとに比較して弱い。」(p208)などと、思わず目を疑ってしまうようなことを平気で書いている。 またこれは著者がやったというわけではないが、「脳波検査」で「異常波の出現を誘発するために、閃光刺激・過呼吸・薬物投与(カルジアゾール、レスタミン、メジマイドなど)などの賦活法を試みる」(p120)とか、「気脳写(脳室に空気を注入して、脳の形態を造影する方法)」(p125)などという、どちらが犯罪者なのかわからない「検査」がかつては行われていたらしい。そのような「検査」に基づいて、犯罪者の脳や脳波の「異常」をいろいろ分類したりしていたらしいのであり、そうした分類を著者は紹介している。 人体実験的な匂いが漂うのであり、少なくともこの本が出版された1982年の時点では人間の脳や心理についてわかっていることが非常に少ないのにもかかわらず、それと犯罪との関連について体系的な「学」を名乗っているものであるということはよくわかった。 |