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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005060007 | 荒俣宏 | 妖怪大戦争 | 2005 | 日本 | 角川書店 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2005/06/18 公開日:2005/06/18
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魔人・加藤保憲と戦う少年・タダシと妖怪たち−戻ってこない少年時代への郷愁に胸うずく作品
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2005年8月に公開予定の同名の映画の原作というか、むしろこの映画のプロジェクトの一環として作家の荒俣宏(あらまた・ひろし、1947-)がまとめた小説という感じである。 映画のほうをネットで調べてみると、監督は三池嵩史。水木しげる(大先生=おおせんせい)、京極夏彦、宮部みゆきとともに荒俣宏がプロデュースチーム「怪」として「プロデュース」というクレジットで出ている。「脚本プロデュース」は荒俣宏であるが、「妖怪キャスティング」は京極夏彦である。 さらにさらに、宮部みゆきが「宮部先生」役として、京極夏彦が「神ン野悪五郎」、水木しげるが「妖怪大翁」、荒俣宏は「山ン本五郎佐衛門」として出演しているらしい。 いずれも端役だろうが、妖怪好きの人たちが集まって楽しく作り上げた映画という感じがする。 実は、この『妖怪大戦争』という名前の映画は昔にもあった。私も子どものころ見た記憶がある。これもネットで調べてみると、1968年に大映で作られた(黒田義之監督)という。こちらは水木しげる大先生は関係ないらしい。 ところで大映と言うと、角川映画が買収しており、この三池監督版の『妖怪大戦争』を撮影中のスタジオ(角川大映撮影所)で昨年11月21日に出火、全焼というニュースもあった。これは妖怪の祟りかなどと思ったことを思い出した。(もちろん妖怪は日本人と共生しているのであるが・・・。) さて、本に戻る。 稲生(いのう)タダシは小学5年生、ママの陽子とおジイちゃんの俊太郎と鳥取に住んでいる。でもパパの正之とおねえちゃんのタタル(中1)は東京に住んでいる。パパとママは1年前から別居しているのだ。 タダシは弱虫で学校の同じクラスの悪ガキ四人組(良太、かずお、なおき、ぶん)たちからは東京のお子ちゃまなどとバカにされている。そんなタダシが近所の麒麟神社で行われる麒麟獅子舞で「麒麟送子」に選ばれる。 おじいちゃんによると「麒麟送子」は「・・・人を守らねばならん。世の平和と幸せを守らねばならん。」(p74)そういう使命を持っているというのだ。 いっぽう、鳥取砂丘の海岸には不気味な黒い巨船が現れていた。「こっくりむっくり」と呼ばれるこの巨船からは毎夜「機怪」たちが上陸、大天狗山で妖怪狩りを行っていた。妖怪と怪物化した古い道具や機械を船にある溶鉱炉で合体させているのだ。 大天狗山で妖怪たちと出会い、大天狗から聖剣を授けられたタダシは怨恨をエネルギーとして東京を破壊しようとする怪人・加藤保憲(かとう・やすのり、ちなみにこれは作者の『帝都物語』のキャラですね)たちと立ち向かう! 大天狗の娘・川姫、ピカチュウ風の可愛い妖怪・スネコスリ、聖剣を修理する一本ダタラをはじめ猩猩(しょうじょう)、川太郎、あずき洗い、加藤に一千年来の恋をしている鳥刺女・アギ、妖怪雑誌『怪』の記者・佐田狂骨など登場「人」物も多彩でそれぞれ魅力的である。 加藤たちの攻撃によって東京は闇に包まれる。数百万の妖怪たちが東京に終結するが、これは戦さかそれとも盆踊りか?百鬼夜行か?聖剣に導かれるようにして鬼と化した加藤と対決するタダシだが、はたして勝ち目はあるのか? 妖怪に別に興味なんかないという人にも、少年時代のこと、少年時代との決別のことが思い出されて胸の奥がうずくであろう。二度と戻れない、でも自分の核に残っている少年時代への郷愁を誘う泣かせる作品である。 |