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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005060001 | 京極夏彦 | 鉄鼠の檻 | 1996 | 日本 | 講談社文庫 |
評者:発起人 評価:10 読了日:2005/06/01 公開日:2005/06/01
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箱根山連続僧侶殺人事件に挑む京極堂シリーズ第四弾は禅宗ミステリー
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ご飯を食べるとき、いちばん好きなおかずを最後までとっておくタイプの私の期待を裏切らず堪能させてくれた京極夏彦(きょうごく・なつひこ、1963-)による京極堂シリーズ第四弾! 文庫本版で1300ページを超える大作であるが退屈させることなく一気に読ませる。いやむしろあまり速く読み進みたがる自分を抑える自分に気づくというめったにない読書体験をさせてくれた。 時は昭和二十八年(1953年)二月。主な舞台は箱根の山中に立つ禅寺・明慧寺(みょうけいじ)。 この謎めいた寺とその周辺で発生する連続僧侶殺人事件に古本屋「京極堂」主人、「憑き物落とし」の中禅寺秋彦が対峙する。 題名にある「鉄鼠」とは、11世紀後半ごろ、延暦寺と対立していた三井寺(園城寺)の高僧、ョ豪(らいごう)僧都が皇子誕生の御祈の報酬としての三摩耶戒壇建立の勅を取り消されたのを恨み、死後鉄鼠(てっそ)という化物となったという伝説に由来している。途中いったい何の関係があるのかと訝ったが、最後には収まるべきところに収まっているのはさすがである。 またこの本を読めば、禅宗の歴史から教義(というのも変なのであるが)までがすっきりわかる(ような気がする)のもすごいところである。そもそも意味不明な会話を表す「禅問答」という言葉があるぐらい禅を言葉で解説するのは難しいのに、それをかなり高いレベルで不自然さを感じさせずにやりとげている。 未読の人はとにかく読んでみるしかないのであるが、このシリーズだけは是非第一作『姑獲鳥の夏』(1994)、第二作『魍魎の匣』(1995)、第三作『狂骨の夢』(1995)と順を追って、しかもあまり日を置かずに読むことをお勧めする。いくらおいしいからと言って私のようにあまり長い間とっておくのも考え物である。 さて、というわけで第五作『絡新婦(じょろうぐも)の理(ことわり)』(1996)は、わー、この本より分厚いぞ! 「この世には−不思議なものなど何ひとつないのだよ。」(p1254) 以下はほぼ登場順に主要人物をメモしたものである(もちろんこの中に被害者も「犯人」もいる): ☆今川雅澄(いまがわ・まさすみ) 古物商。「待古庵」主人。明慧寺の小坂了稔(こさか・りょうねん)から取引の書状を受け取り、麓の旅館・仙石楼に滞在。 ☆久遠寺嘉親(くおんじ・よしちか) 医師。「昨年夏」の事件のため半ば隠棲するようにして仙石楼に起居。 ☆中禅寺敦子(ちゅうぜんじ・あつこ、23) 雑誌『稀譚月報』記者。「京極堂」秋彦の妹。明慧寺取材のため仙石楼へ。 ☆鳥口守彦(とりぐち・もりひこ) 休刊中のカストリ雑誌『實録犯罪』の編集記者。明慧寺取材の手伝いのため敦子とともに仙石楼へ。 ☆飯窪季世恵(いいくぼ・きよえ、26) 明慧寺取材グループ。今回の取材交渉を担当。地元の出身らしいが・・・。 ☆小坂了稔(こさか・りょうねん、60) 明慧寺僧侶。「直歳」(しっすい=建設担当)。 ☆和田慈行(わだ・じあん、28) 明慧寺僧侶。「知客」(しか=来賓の接待役)。 ☆関口巽(せきぐち・たつみ) 作家。本作の語り手。「京極堂」の友人。 ☆関口雪絵(せきぐち・ゆきえ) 巽の妻。 ☆中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ) 京極堂。箱根で発見された古書の鑑定のための旅行に、妻と関口夫妻を誘い出す。 ☆中禅寺千鶴子(ちゅうぜんじ・ちずこ) 京極堂の妻。 ☆山内銃児(やまうち・じゅうじ) 古書店「倫敦堂」主人。 ☆尾島祐平(おしま・ゆうへい) 按摩。 ☆山下徳一郎(やました・とくいちろう) 国家警察神奈川県捜査第一課警部補。「歳の頃なら三十前後、神経質そうな目つきの、歌舞伎役者のような顔をした鼻の尖った男」(p288) ☆益田龍一(ますだ・りゅういち) 山下の部下。 ☆阿部 巡査。 ☆榎木津礼二郎(えのきづ・れいじろう) シリーズ準主役級。探偵。「薔薇十字探偵社」を主宰。京極堂、関口の学校の先輩。「人に見えないものが見える」(p323) ☆菅原 所轄刑事。 ☆中島祐賢(なかじま・ゆうけん、56) 明慧寺の僧侶。「維那」(いの=僧の綱紀担当)。 ☆英生(えいしょう、18) 明慧寺の僧。最新参。小坂了稔の口利きで入山。 ☆桑田常信(くわた・じょうしん、48) 明慧寺の僧侶。「典座」(てんぞ=賄い担当)。 ☆円覚丹(まどか・かくたん、68) 明慧寺貫主。 ☆牧村托雄(まきむら・たくゆう、22) 明慧寺の僧。桑田常信の行者(あんじゃ=お付)。 ☆大西泰全(おおにし・たいぜん、88) 明慧寺の老師。 ☆杉山哲童(すぎやま・てつどう、28) 明慧寺内に住む「寺男」的僧侶。仁秀の庵に住む。 ☆仁秀(じんしゅう) 明慧寺内に以前から住む謎の老人。 ☆鈴 仁秀の庵に住む「振袖娘」。 ☆松宮鈴子(まつみや・すずこ) 十三年前の松宮家放火殺人事件(当時十三歳)で「振袖」を着たまま行方不明になった。↑の鈴との関係やいかに? ☆松宮仁(まつみや・ひとし) 鈴子の兄。事件当時十七、八歳。疑われたが証拠不十分で釈放。出家し、松宮仁如(まつみや・じんにょ)に。 ☆次田(つぎた) 所轄の老刑事。 ☆菅野博行(すがの・はくぎょう) 明慧寺僧侶。元の典座。心を病み、境内の土牢に。 |