感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005050012 畑村洋太郎 直観でわかる数学 2004 日本 岩波書店

評者:発起人    評価:4   読了日:2005/05/27   公開日:2005/05/27

数学できない人を挑発する本

 

 私、発起人としてはできるだけ多様な分野の本を読んで感想文を書こうとしている。今回は数学である。

 まず私の数学体験を告白すると、私は文系であったので、というかこの本で書かれているように、「数学をやらなくてすむから文系に進んだという人はじつに多い.」(p2)。私もそうである。

 しかし私が受験した大学は文系にも数学を必修としていたため、この苦手な分野を勉強せざるをえなかった。しかし真剣に勉強したのはたったの1年であり、受験が終わるとすべて忘れてしまったのである。

 大学でも数学の授業は必修であったが、当時は時代がのんびりしていたせいか、年に2回ほどしか出席しなくても、また試験で「それはさておき、よく出るパチンコ屋の見分け方は・・・」などとまったく無関係なことを書いてもちゃんと単位がもらえたのである。

 その後社会人になってからも基本的に数学を使うことはなかった。使ってもせいぜい四則演算ができればオッケーであった。しかもエクセルやロータス1.2.3などという便利な表計算ソフトが浸透しだしたため、脳の筋力を鍛えると言われている「百ます計算」などもできないのである。

 しかし、やはり数学ができないというのは負い目なのである。数学ができないと物理学も工学もいやあらゆる自然科学は理解できないと思っているのである。日本語や英語は文理共通なのにこの数学が支配しているように見える広大な分野から取り残されている感覚がつきまとうのである。自然科学だけではない。経済学はもちろん、数学を使わない学問分野はきわめて限られているように思われる。

 いやもっと言えば、数学ができる人は頭がいいと思っているのであり、私はできないのでくやしいのである。

 と前置きが非常に長くなったが、畑村洋太郎(はたむら・ようたろう、1941-)という人の書いたこの本、「次のような人たちにこそ読んでもらいたい.」(E)と7種類の対象読者層を挙げている。

 私はそのうち、「1 数学は苦手だが,どこか気になっている人.」か「7 数学の本質をつかんで,「ナンダ,こんなことか」と溜飲を下げたい人.」に当てはまるかと思うのだが、「数学の本質がズバリわかることは保証する.」という著者の宣言どおりにはいかなかったのである。

 むしろますます、数学が私から遠ざかっていく!そもそも「サイン・コサイン」、「行列」、「指数・対数」、「虚数、複素数」、「微分、積分」、「微分方程式」、「確率」などと言われてもすっかり忘れているのである。そもそもそれなんだっけ?という部分の説明が少ない。

 きっと畑村教授の話を聴くのはおもしろいとは思うのだが、このように突然字が大きくなったり、絵で説明したり、「蛇足」というコラム欄があったりと多分数学の現役の先生にはいい参考書になるのだろうが(そのせいか、この本、奥付を見ると2004年9月8日第1刷で2005年2月15日第15刷とすごく売れているようなのである。)、なんとなく私は頭のいい先生に見下されているように感じたのである。ひがみ根性である。

 わかりました。私はまだ白洲正子などを読んで日本の美しさがどーのこーのなどと言っている場合ではないのだ。くやしいから数学の本を明日本屋さんに行くときに買ってくるよ、多分(陰山英男先生の本は買わないと思うけど)。

 蛇足 「畑村洋太郎(はたむら ようたろう) 1941年生まれ. 工学院大学国際基礎工学科教授.東京大学名誉教授.畑村創造工学研究所代表.専門は,失敗学,知能化加工学,創造的設計論,ナノ・マイクロ加工学.」(本書の著者紹介欄から引用)だそうです。


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