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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005050009 | 桐野夏生 | 天使に見捨てられた夜 | 1994 | 日本 | 講談社文庫 |
評者:発起人 評価:5 読了日:2005/05/22 公開日:2005/05/22
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女私立探偵・村瀬ミロが失踪したAV女優を追う
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私はこの小説をあの大傑作『OUT』(1997)を書いた桐野夏生(きりの・なつお、1951-)の作品として読み始めたのである。しかし、どうも調子が良くない。 ひとつには、本編が私立探偵・村瀬ミロを主人公とするシリーズの第二作なのに、第一作の江戸川乱歩賞受賞作『顔に降りかかる雨』(1993)を読んでいないということがある。この女性探偵のバックグラウンドがよくわからないのである。 ふたつめには、この作品、私が好む謎解きの要素やサスペンス感にとぼしい。ハードボイルドのパロディのようにも感じられたが、別に意識して男性優位主義になりがちなこの分野を批判するというわけでもなさそうである。解決は2時間ドラマ的であり、アダルトビデオ業界を背景にもってくるところなどは(男性優位の)世間に迎合気味なのである。これも「ブレイク」前の作者としては仕方がない面もあったのかもしれない。 父親の探偵事務所を継いでいる「私」(村野ミロ)はフェミニズム系小出版社の渡辺房江からアダルトビデオに出ている「一色リナ」を探し出して欲しいという依頼を受ける。女優たちの人権を守る運動だという。 「私」は純粋にビジネスとしてこの依頼を引き受けるのだが、プロダクションやビデオ製作会社の口は固く、「私」は脅迫まで受ける。北海道にいる父や隣人で新宿2丁目のバー経営者で同性愛者の友部(トモさん)などの協力を得て「私」は手がかりを追っていく。 いっぽう70年代中盤にスター歌手だった富永洋平(トミー)が殺される。「私」も好きだったが今では落ちぶれていたこの歌手のヒット曲が「天使に見捨てられた夜」なのだが、「リナ」の失踪とこの歌手の事件には何か関係があるのだろうか?(もちろん、ないはずはないのであるが・・・) 「リナ」の行方はなかなか明らかにならないのに、「私」はこのビデオ製作会社経営者の矢代という「体育会系哲学者」の風貌を持つ男と・・・。 おいっ、おまえはそんなことをしてる場合かあ!ほら言わんこっちゃない・・・。 まあ、男が主人公のハードボイルドでは途中出会う女性と同様のことに及ぶという設定は数多くあるわけで、女性探偵が同じことをして何が悪いと言われれば、そのとおりなのであるが・・・。 歯切れの悪い感想文になったが、私のように過度な期待さえ持たなければ適度に楽しめる作品ではある。ちなみに、この作品は、製作総指揮・中村雅哉、監督・廣木隆一、主演・かたせ梨乃で映画化されているらしい(日活、1999年)。 |