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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005050006 蜂屋邦夫 老荘を読む 1987 日本 講談社現代新書

評者:発起人    評価:8   読了日:2005/05/15   公開日:2005/05/15

「癒し系」の中国古代思想家、老子・荘子の世界に遊ぶ

 

  本書は、中国思想史研究者の蜂屋邦夫(はちや・くにお、1938-)が「われわれがこの現実をいかに生きぬくかという内面の問題を念頭におきながら老荘の思想を読み解いてみたものである」(p224)。

 老荘、つまり老子・荘子は中国古代の思想家であるがその経歴などははっきりしないことが多いという。老子にいたってはその実在を否定する学説も有力のようであるが実在説に立てば孔子(前552-前479)より一世紀ほど後の人物らしい。荘子は紀元前4世紀ごろに実在したという説が有力である。本書では老子、荘子の伝記的事実についても触れられているが、いずれにせよ中国文化の息の長さにあらためて驚く。

 孔子が創始者である儒教が統治者の思想として大きな影響力を持ったのに対し、主流とはならなかったが、ひとつの有力なアンチ・テーゼとして、中国知識人や庶民に根強く影響を及ぼしてきたのが老荘思想(一部では宗教化したものもある=道教)ではないかと私は漠然と感じていた。

 もちろん日本でも儒教とともに老荘思想は私たちに深いところで影響を与えている。元気なときは儒教、疲れたときは老荘思想!勝っているときは儒教、負けているときは老荘思想!などと書くと思想を栄養ドリンクと同列に扱うなと言われそうであるが・・・。

「・・・人間世界の虚構をあばいて人間の天然自然なる本性(ほんせい)に生きようとした老荘の思想は、・・・われわれに大きな慰謝をもたらしてくれるのである。」(p224)と著者も書いているように、老荘思想は癒し系なのである。

 今年世の中を騒がしたライブドア対フジテレビのニッポン放送支配をめぐるバトルでフジテレビ側の「ホワイト・ナイト」(白馬の騎士)として登場したSBI(ソフトバンクインベストメント)の北尾社長は記者会見などで韓非子などを引用して漢文の素養があることを示したが、私などは高校の授業で『論語』や李白や杜甫などの漢詩を読まされたいやな記憶しかないのである。

 つまり何が言いたいかというと、日本は漢字を輸入して使っているために、中国語の書物を読むさいに独特の読み方を発達させたのである。この歴史的意義や文学的香気を否定するつもりはないが、漢文があるために現代日本では昔の中国語文献をわかりやすい現代日本語に翻訳する技術が遅れたのではないか。

 おっと、いったい私はこの本から何を学んだのか。

「知りて知らざるは(知りながら、知らないとするのは)尚(とうと)し。知らざるに知るは(知らないのに、知っているとするのは)病(へい)なり(欠点だ)」(老子七一章、本書p144より)


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