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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005040006 H. G. ウェルズ 宇宙戦争 1898 イギリス 創元SF文庫

評者:発起人    評価:6   読了日:2005/04/13   公開日:2005/04/13

異星人による地球侵略・世界滅亡の原型を造った不滅の名作

 

 SFの父、英国の作家ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866-1946)が1898年に発表した作品。

 スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の2005年公開映画の原作として関心が高まっているが、この作品は1953年にも映画化されており、またオーソン・ウェルズがラジオドラマ化したものが1938年にアメリカで放送されて聴取者がパニックを起こしたというのは有名な話。

 しかし原作が発表された当時のイギリスは、もちろん世界の最先進国ではあるがまだミサイルも無く、人々の移動手段は鉄道か馬車、あるいは自転車である。そんなイギリスはロンドンの郊外に火星から円筒形のミサイルのようなものが続々と打ち込まれた。

 中から出てきたのは奇怪な姿をした火星人で巨大な作業機械や戦闘機械を操り、熱線や正体不明のガスを撒き散らしながら人々を殺戮し、軍隊を無力化し、ロンドンに向かって攻め込んでくる。

 語り手の「私」は哲学的著作を書いている知識人であるが、この世界滅亡の危機の渦中に投げ込まれる。パニックに陥った人々はわれ先に逃げ惑う。ここではすでに道徳や神までも無力である。「私」もその中に在って妻と離れ離れになり、火星人たちから逃げ惑うのである。

 地球という世界は滅亡の危機にさらされたのである。

 しかし・・・、結末はあまりに有名であり、ここでは述べないが、世界滅亡のビジョンが宇宙人による侵略という形で示されたのはこの小説がはじめてではないのだろうか?

 もちろん世界滅亡の話は「ヨハネによる黙示録」などいろいろな形で大昔から存在していたのであるが、それを当時の最先進国に舞台を設定し、「科学」と人類という種の未来への著者の展望とで裏打ちして示したという点で宇宙人侵略あるいは世界滅亡に直面したパニックをテーマにした原型を造り上げた画期的作品だといえる。

 この作品の変奏・模倣がさまざまな形で演奏され続けているのである。(だからそれらの作品に価値がないといっているわけではもちろんない。)

 だが、私としては、この創元SF文庫版の井上勇による翻訳は古く、読みづらいということもあり、ロンドン周辺の地理がわからないということもあり、なによりやはりこのままで読むとかなり幼稚に見えるということもあり、歴史的な意義は認めつつも、6点!映画に期待したい。


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