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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005030009 | 秋山さと子 | ユングの心理学 | 1982 | 日本 | 講談社現代新書 |
評者:発起人 評価:5 読了日:2005/03/29 公開日:2005/03/29
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神秘思想と紙一重のユングの思想と生涯をコンパクトに紹介
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ユング(1875-1961)と言えば、読んだことのない私にとっては、フロイトとは異なる方法で精神分析を確立した人だというぐらいのイメージしかなかった。現在文化庁長官をしている河合隼雄(かわい・はやお、1928-)の本を2冊ほど読んだことがあり、この人がユング派精神分析家の資格を持っているということは知っていた。 本書の著者、秋山さと子(1923-1992)はスイスにあるユング研究所に在籍していた(1964-68)らしいが、同じく同研究所に在籍していた(1962-65)という河合隼雄とは異なり、もともとは学者ではなかったようである。 本書『ユングの心理学』(1982)はユングの自伝などからその生涯とその心理学の概要を解説したものであるが、ユングという人自体が神秘思想や錬金術、東洋思想などから啓示を受けて自らの心理学を確立していったせいか、非常にわかりにくいのである。オカルトと紙一重というか、これが学問かというか、そういうところが感じられるのである。 ユングは当初はフロイトに大きな影響を受けたが、さまざまな理由から確執が生まれる。このフロイトとユングの関係についての記述がいちばん私にとっては面白かった。本書での記述を読むとフロイトもユングもどちらも学者というより自分が治療の対象の患者のように思える。 ユングはフロイト派と袂を分かち、そのことによって生じた大きな精神的危機を自らの無意識に沈潜することで乗り切ったのである。 「集合的無意識」とか、「元型」とか考え方としては面白いが、「心の病」の治療や軽減にはどう結びつくのかはっきりしないことが多い。 著者もこう述べている: 「 いわゆる学者の目から見れば、これは考えられない飛躍である。本来歴史的事実としてはとても関連があるとは思えない、あるいは少なくとも、その確証はまず得られそうにもないチベットの仏教と中国の道教、そして西欧の錬金術という時代も場所もあまりに異なるものを、なぜユングが重ねて考えたのか、不思議という他はない。 このあたりに、ユングの業績の学問的価値を疑う人も多い。しかし、これはユング自身の心的現象の流れから生まれた発想であって、彼にとっては体験的な事実であった。」(p115) 短時間でユングの生涯やその基本的な考え方を知りたい場合にはお手軽な一冊である。 |