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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005020008 ジェフリー・アーチャー ロスノフスキ家の娘 1982 イギリス 新潮文庫

評者:発起人    評価:4   読了日:2005/02/24   公開日:2005/02/24

米国的システムの無条件な肯定と強烈な上昇志向−政治家志望者にはお奨めの一冊

 

 英国のベストセラー作家にして、保守党政治家でもあり、つい最近保釈が認められるまでは偽証罪で刑務所に入っていたというジェフリー・アーチャー(1940-)の『百万ドルを取り返せ!』(1976)、『大統領に知らせますか?』(1977)、『ケインとアベル』(1979)に続く長編第4作。

 本作の主人公、フロレンティナ・ロスノフスキは前作の主人公アベル・ロスノフスキの一人娘であるという設定であり、視点は違うものの『ケインとアベル』と重複する部分が多い。

 ポーランド移民一世として猛烈に働き、学び、一代にして世界屈指のホテル・チェーン、バロン・グループを立ち上げ成功させた父親のアベルとは異なり、フロレンティナはオーナー経営者の娘としてめぐまれた環境に育つ。だがアベルの不倶戴天の敵、ボストンの銀行家ウィリアム・ケインの長男・リチャードと恋に落ち、駆け落ち同然で家を出て独立する。

 フロレンティナとリチャードは立派にこの試練に耐え、親の支援なしで、それぞれファッション業界と銀行業界で成功を収めるのだ。

 もちろん今ライブドア対フジサンケイグループで話題の「敵対的買収」などというのは米国では昔から当たり前のことでいかにいい会社の買い物をするか、いかに買収されないように企業価値を高めるかということは経営者としては当然常に考えていなければならないのである。

 おっと、話をもとに戻す。

 フロレンティナとリチャードはそれぞれの実家とも和解し、とんとん拍子で社会の階層を上っていくのである。もちろん超人的な努力と才能を発揮してのことではあるが。

 そしてフロレンティナは合衆国初の女性大統領になるという昔からの夢の実現のため、政治の世界に飛び込む。米国の政治システムが詳細に描写される。

 はたしてフロレンティナは夢をかなえることができるのか?

 この作品が出版された1982年以降1995年までの「未来」を描いた部分は、今読むとかなり滑稽に感じられる部分が多い。政治は一寸先は闇と言われるのにあえて挑戦した作者の心意気を評価すべきか、それともかなり制度などの異なる英国で政治家をやっていた作者の野望を実現するための材料としてフロレンティナとアメリカの民主主義制度を礼賛してみせたのか。

 ひとつだけ確かなことは、この作者の強烈な上昇志向(したがって現体制への無批判な支持)である。当然のことながら社会的弱者は選挙の票としてしか見えてこないのであり、そもそもいったいフロレンティナは何をするために大統領になるのかという動機も判然としないのである。

 2005年の現職米国大統領に比べるとフロレンティナのほうがまだましなような気はするが・・・。


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