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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005010005 | 中島らも | 酒気帯び車椅子 | 2004 | 日本 | 集英社 |
評者:発起人 評価:4 読了日:2005/01/11 公開日:2005/01/11
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荒涼たる世界が拡がる中島らもの遺作
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これではあまりにもさびしすぎるよ。 昨年7月に階段から落ちて意識が戻らないまま亡くなった中島らも(1952-2004)が同年5月に脱稿していたという作品。 中島らもがもし生きていたら、今こうして残っている作品を単行本化するにあたってどの程度推敲し、加筆・訂正していたかはわからない。しかし、初出は「小説すばる」の同年三月号から八月号だったというから、少なくとも雑誌掲載作品としては本人もOKを出していたはずである。 それが、これか?雑誌で小説を読まない私に常識がないだけなのかもしれないが、唖然とし、そのあとで心を寒風が吹き抜けるような感覚に襲われ、それがいまだに続いている。 商社の部長をしている「私」は、自分が進めてきたプロジェクトに横槍を入れてきた暴力団に毅然と対応したために、かれらに妻を集団強姦の上殺され、一人娘(八歳)を「担保」に誘拐され、自らは膝から下を切断せざるをえない暴行を加えられる。近所の居酒屋「ひさご」の飲み仲間である町の発明王、「やっちゃん」が大改造してくれた車椅子を武器に、皆殺しの復讐のために立ち上がる。 随所に、アルコールやドラッグへの依存症の記述があるが、これは作者のほかの作品でも描かれている記述から一歩も出ていない。世界は暴力と不正義に支配されていて、登場人物たちは何かに依存せざるをえない。「私」も長い間復讐を忘れ、浴びるほど酒を飲み続ける。 会社の部下の「立川ちゃん」や病院の看護婦「あやちゃん」など明るい女性キャラクターも登場するが、作者の願望の表れである性的ステロタイプであり、読んでいるほうが恥ずかしくなる。 両足切断の当日から車椅子の訓練でしごかれたりする非現実的な記述、おそらく20年ぐらい時間が止まっているような商社での仕事ぶりの描写・・・と物語としての破綻も数え上げればきりがない。 実は、私は読んでいる間、これは作者の死後、パソコンなどに残されたのが発見された草稿かと思っていたのである。(私は普通書店のカバーをかけて読んでいる。)集英社もこんな未完成な作品まで本にするなよ、いくらなんでもと思っていたのである。ところが感想文をここに書こうとしてカバーを取ってみると、帯に上記のようなこの作品の成立が印刷されているではないか。 らもさん、この世界はつらかったんだね。 安らかにお眠りください。 |