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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005010003 | 森見登美彦 | 四畳半神話大系 | 2005 | 日本 | 太田出版 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2005/01/09 公開日:2005/01/09
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四畳半をめぐる悪夢世界から主人公は脱出できるのか?
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「今やこんなことになっている私だが、誕生以来こんな有様だったわけではないということをまず申し上げたい。」という一文で始まる本作品を、私のこの感想文を読んで購入して読んでみようと思われる方には、まず警告を申し上げたい。この作品はおそらく九割五分の方には後悔、憤怒、千六百八十円プラス税返せ、この本乱丁落丁だらけじゃないのか等々の否定的感情しか惹起しないことは火を見るよりも明らかである。 しかし、私は残りの五分に所属していたためか、一寸の虫にも五分の魂と言うようになかなか爽快な気分で読了することができたのである。 現在も京大農学部大学院修士課程に在籍中である著者の森見登美彦(もりみ・とみひこ、1979-)を私は個人的に知っているわけでも、何らかの利害関係を有しているわけでもない。デビュー作の『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞という賞を受賞し、本作が二作目であるらしいが、一読驚愕、再読不能あるいは再読不要という状況に陥ってしまったことを告白せざるをえない。 しかし、あえて断言しておく。次の二つの範疇に当てはまる、あるいはその気味があることを認めるにやぶさかでないという貴君にはこの要約不能な作品が琴線に触れるということも無きにしも非ずである。 第一。本作品中にもその偉大な名前が一度だけ触れられているが、あの脱出不可能の悪夢世界を創出した、米国のSF作家、P・K・ディック(1928-1982)の世界に耽溺したことのある貴君は、この作品の中に否定しようとしても否定しきれないディックの影響や彼に対する憧憬の念を読み取ることができるであろう。そして、まだ新人で学生の分際でいい根性をしている、フッ、ディックでさえ『火星のタイム・スリップ』(1964)でここまではやらなかったぜ、世間を舐めちゃいけないよなどという思いが沸々と湧き上がってくるのを 抑えることはできまい。 第二は、過去あるいは現在、あの「薔薇色のキャンパス・ライフ」なるものに憧れたが、無惨にも学生生活を棒にふった(ふりつつある)貴君である。とりわけ、京都という一般的に「学生さん」に甘いといわれている街で学生生活を棒にふった(ふりつつある)貴君には、ほのかな郷愁と大いなる悔悟をこの作品の主人公である「私」と共有できるであろう。しかし間違っても、現役京大生の作品であるからといって、平野啓一郎などの純文学系列の駿才や清涼院流水や綾辻行人、法月綸太郎などの推理小説研究会系作家などと同列に捕らえては双方にとって失礼極まりない所業として非難されてしかるべきであろう。 女性読者にとっては、おそらくこの作品は重要なキャラクターとして登場し、表表紙に描かれている「もちぐま」や主人公の分身とも言うべき「ジョニー」の言動以外に興味を引くところはないのではないかと危惧するのであるが、そんなことを私が云々する資格も能力も責任さえもないということをここで断言しておく。 |