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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2005010002 | フレデリック・フォーサイス | シェパード | 1975 | イギリス | 角川文庫 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2005/01/06 公開日:2005/01/06
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なかなかの冴えを示すフォーサイスの短編集
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やはりあの超傑作『ジャッカルの日』(1971)の衝撃を超えられないという印象を私としては持っているフレデリック・フォーサイス(1938-)の短編集である。収められているのは三篇。 「ブラック・レター」では、ロンドンの金融街、シティに勤める五十代の平凡で堅実さが取りえの会社員、サミュエル・ナトキン氏が主人公。通勤電車で拾った「交際情報誌」(現代ならさしずめ出会い系サイトのようなものか)に「個人広告」を出していた「サリー」と名乗る女に電話をし、道ならぬひとときを過ごしてしまうが・・・。 「殺人完了」では、伝説的な億万長者で女好きのマーク・サンダーソンが唯一真剣に恋をした人妻からスペインの片田舎にいっしょに住んでいる夫の存在を理由にふられてしまう。サンダーソンは金の力でプロの殺し屋を雇ったが・・・。 表題作の「シェパード」とは、僕用件、違う、牧羊犬のことであるが、英空軍では、操縦不能に陥った飛行機に接近して安全に飛行場にまでナビゲートする役割を持つ航空機・その操縦者のことを意味していた。1957年のクリスマス・イヴ、ドイツから故国英国へ向った若い空軍パイロットの「わたし」は、乗機のヴァンパイアの電気系統の故障で管制官との連絡が途絶、油圧系で動いている速度計と高度計、そして燃料計だけに頼って霧に覆われた英国の基地に帰還するか、北海の凍てつく海に不時着(=凍死)するかの決断にせまられた。そのとき、「わたし」の目に入ったのは、一機の旧式の爆撃機だった。たすかった、「シェパード」だ!だが・・・。 簡潔な状況描写と意外で少々皮肉な結末。正統な短編小説の定型をしっかり踏襲している。 しかしやはりフォーサイスにはどこまでが事実でどこまでがフィクションか判別不能なリアリティのあるジャーナリスティックな背景を持った作品を期待してしまう。普通の作家であれば優秀作であるが、フォーサイスの場合はちょっと流して書いてないかなどと思っている自分を否定できないのである。 |