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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2005010001 法月綸太郎 生首に聞いてみろ 2004 日本 角川書店

評者:発起人    評価:6   読了日:2005/01/03   公開日:2005/01/03

本格ミステリーの未来を占う力作

 

 とにかく本格推理やパズラーに分類される小説の立場はたいへんである。DNA鑑定はあるわ、街中に監視カメラはあるわ、携帯の通話記録や位置情報は把握できるわで、現代日本を舞台にしてリアリティある本格推理を組み立てるのは至難の業である。

 その困難な課題に真っ向から挑戦したという点で、法月綸太郎(のりづき・りんたろう、1964-)のこの作品、本格ファンにはどうしても無視できない成果だったのだろう。『このミステリーがすごい!2005年版』の国内部門で堂々の1位を占めた。

 しかし、本格というジャンルにこだわっているわけではない私としては、苦しさだけが感じられて素直には楽しめなかったのである。

 はっきり言って偶然が支配する要素が多すぎる。つまり複雑な伏線が伏線というよりも無理矢理最後に捩りあわされている感じがしてしまって。文体も、とくに会話文にこの「て」止めを濫用する登場人物が多すぎるような気がしてしまって。

 作者と同じ名前の法月綸太郎は作者と同じく推理作家である。そして父親は警視庁の警視である。これはまさにエラリー・クイーンによる設定を踏襲しており、作者のこの本格派の巨匠への「オマージュ」(ってよく使うけど何?)であるのみならず、刑事でも検事でもない民間人が事件にかかわることのできるという不自然さを解消する意味もある。(それでもまだ不自然である、という見方も十分説得力があるが・・・)

 さて、今回の事件、時は1999年、日本。著名な前衛彫刻家である川島伊作が病に倒れたとき残した、渾身の力作は、愛娘・江知佳(えちか)をモデルにしたものだった。石膏直取りと呼ばれる、人体にそのまま石膏を貼り付けて型を取る手法を駆使した裸婦像。ところが、この遺作の首の部分が切り取られ、何者かによってアトリエから盗み出された!

 これは江知佳への殺人予告か?事件に乗り出した、法月綸太郎は事件発生を予防できるか?(いや、これは当然本格のお約束として、事件は起きるのだが・・・) 

 本格愛好家にとっては、垂涎の設定、そうでない人でもある程度は楽しめるはず。さて、本格に未来はあるか?


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