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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004120008 山田昌弘 希望格差社会 −「負け組」の絶望感が日本を引き裂く 2004 日本 筑摩書房

評者:発起人    評価:5   読了日:2004/12/20   公開日:2004/12/20

笑い上戸の葬儀屋さんなどには超お薦めの一冊!

 

 数年前に「パラサイト・シングル」という言葉を流行らせた、社会学者・東京学芸大教授の山田昌弘(やまだ・まさひろ、1957-)の新著である。

 日本社会が構造的に「リスク化」し、「二極分化」し、「負け組」にとっては、「夢」や「希望」を持てない社会になりつつあることをこれでもか、これでもかと分析した本である。

 職場、教育、家族など高度成長期にはリスク軽減の装置として機能していた組織自体が現在リスク化を推進する装置に変貌しつつある。500万人と推定される「フリーター」や「引きこもり」、未婚率・離婚率の上昇と少子化、そのいっぽうで「出来ちゃった婚」の増大。児童虐待の増加に特に中高年層の自殺急増−。

 あ゛〜。

 一部の「勝ち組」は「勝ち組」同士が結婚(強者連合)して家庭を作り、子供を教育し、豊かな生活を享受し、社会のリスク増大に対する対処策も身につける。格差は拡大し、二極化が進行する。

 「負け組」は希望を持つことを諦め、将来を考えず、実現できない「夢」を追うふりをして、実際は不安定・低賃金労働(フリーター)を続けたり、親に寄生して、刹那的な毎日を送る。

 うん、それでどうなるの?社会の不安定化、社会秩序の危機である。自暴自棄は怖いもの知らずであり、「合理的」犯罪より、「犯罪のための犯罪」のような理解不能の犯罪が増加する等々。

 しかもこれは日本的な特徴(たとえば社会的ひきこもりやパラサイト・シングル)はあるとは言え、「ニューエコノミー」化などの経済・社会変動を基盤に持っているためグローバルな流れであり、構造的変化である。

 そもそもこの本、社会学の研究書とは言いがたいし、政策的提言(=じゃあどうすればいいのか?)の部分は非常にオソマツである。著者は来年の流行語大賞でもねらっているのか。学者として「勝ち組」になりたいと考えているということか。

 政府や東京都などの審議会委員などもしている著者の視点は畢竟為政者の視点である。社会が不安定化するとまずいだろう、という匂いが漂うのである。「負け組」が読んで愉快な本ではないし、「勝ち組」は別に読んでも仕方がない。

 大事な会議や葬式など厳粛な場所でつまらないギャグが頭の中に湧き上がって笑いを抑えるのに苦労しています、という人には文句なくお薦めできる、即効本である。


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